本日のプレイリスト:https://spoti.fi/3IQTKp1
(今回のメンバー:やすお、ナル、ソキウス)
空想だからこそできること。
今回は、とある仮定の質問を経由することで「(イントロクイズ的な)音源収集」行為について考えてみる回。
その質問とは、「もしも森羅万象の楽曲にアクセス可能な音楽ストリーミングサービス(サブスク)が存在したら、あなたはそのサービスに対してどのような形で向き合うか?」
なお(本編中でも何度か言及されますが)、「アクセス可能」になっただけであって、それ以外のサービスが付随していたり、経済的な問題が発生していたりはしない、そしてそのサブスクをイントロクイズの出題に利用できるという条件の下でもしもの話を進めていきます。
まずはやすおに質問。
音楽を聴くための時間が増えないのであれば、結局はこれまでに聴いてきた音楽から少しは幅が広がる程度で、そこまで現在とは変化がないだろうという回答。
同じ質問をナルに投げかけると、そのようなサービスを使いはするだろうが、「音源収集」は「変わらずに行っていく」という言葉が返ってきます。
ここでいう「音源収集」は、特に楽曲を聞くために必要なコストが現段階で高いものに対しても意欲的に集めていこうという姿勢のこと。
このような「音源収集」をしているナルが仮に森羅万象なサブスクと出会い、自らの手元にモノとして音源を「所有」 ―ここでの「所有」の捉え方は、引き続きこの回で検討されていきます― できたときは、自身が利用するそのようなサブスクからデータを消すだろうと回答。
今回の「もしも」は森羅万象が前提であり、完全な状態で楽曲を聞けるという点では、このサブスクも、そしてナルがいう「所有」した状態でも同じ。ただしナルにとっての「所有」は、モノとして入手すること、特に形として見えることの方が重要だと考えています。
このナルの回答を受けてソキウスは、以前音源収集に関する回( https://spoti.fi/3rHSHzA )で少し触れた「ポピュラーカルチャーにおけるモノ」の議論[松井 2013]をここで本格的に参照します。
それはこの回の内容と接続させるのであれば、ナルの「所有」のスタイルは集合的記憶論的な考え方であるということ。
([松井 2013]の注でも言及されているが、音楽パッケージの場合は、権利の証明や稀少性などのここで挙げた考え方以外の価値が入り込む余地を予め考慮する必要がある)
そのモノとしての音源(CDなどの物理的な媒体)が、自身の記憶とより結びついているのではないかというのがソキウスの見立てです。
この想起に関する見立てにナルも概ね同意。
このモノとして持っておきたい感覚はやすおも一定程度共感できるもののようで、ここでは(オタク的な意味での)「お布施」に近い感覚を説明。
今回のサブスクとナルがいうような「所有」のスタイルは、「対価を支払うことで何かを得る」という点でも同じといえますが、そこに「差額」の要素が新たに絡んできます。
ここまでの内容を踏まえて、最後に「森羅万象なサブスクが現れたら、CDレンタル行為を引き続き行うか?」をメンバーに問います。
やすおは、一定の条件がクリアされていれば、「お布施」の考えを基にした「お金を出して買うべきだ」と自身が考えるもの以外は、購入もレンタルもしなくなるだろうと回答。
ナルは「レンタルも引き続き行う」とのこと。
音源がレンタルできるかどうかをまずは重要と考えるナルにとって、今回のようなサブスクの存在は自身の「音源収集」スタイルにどのような影響を与えることになるのか。
自身で熟考した結果、ナルは音源を探して手に入れるまでの一連の行動それ自体(手間)に価値をより見出しているのだろうという結論に達しました。
ソキウス的には、このような手間に価値をより見出す姿勢は、イントロクイズを趣味として楽しんでいる人たちに多く見られるものなのではないかと考えています。
ソキウスはこの森羅万象なサブスクについてどう考えているかというと、ポータブルオーディオ回( https://spoti.fi/3FPYr0j )などで言及したとおり、楽曲の音質に多少こだわりがあるので、今回の条件だけだと一定程度はCDレンタルを利用するだろうという回答。
ただし森羅万象なサブスクが音質の点まで完全にクリアできたら、ソキウスは「全ての音楽行為」をそのようなサブスク一つに任せることになるだろうとも語ります。
今回の仮定はもしも中のもしもではありますが、そのような仮定を置いてみることで、各々の音源収集に対する考え方をある程度浮かび上がらせることが出来たのではないかと思います。
今後もそのような各々の感覚の違いをはっきりさせるために、このようなもしもシリーズを設定することが度々あるとは思いますが、その際はぜひ一緒に考えていただけると幸いです。
【本日の一曲】
毎回最後に1分以内で今紹介したい1曲を持ち回りで語ってもらう「本日の一曲」。
今回はソキウスが、ピアノの響きが美しい楽曲を紹介。
その快感をぜひ味わってみてください。
【今回のキーワード】
音楽ストリーミングサービス(サブスク)/森羅万象/音源収集/所有/ポピュラーカルチャーにおけるモノ/集合的記憶論/CDレンタル/「お布施」/音源収集での手間/音質/H ZETT M
【参考資料】
松井広志, 2013, 「ポピュラーカルチャーにおけるモノ」『社会学評論』63(4): 503-518