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アニソン基礎ボードの楽曲リストはこちらから:https://bit.ly/3ARxAiW

(今回のメンバー:キョン、やすお、ソキウス)

「礎」はいくつあるもの…?

今回は、過去に振返り回( https://spoti.fi/3u2gyuI )などでも話題に挙げていたキョンの「アニソン基礎ボード」の取り組みを引き合いに出し、それをきっかけに「アニソンの『基礎』とは何か(どのような要素を持ったものであるのか)?」ということを考えていく回。

前後編の2回に分けて、この「基礎」というものを考えていきます。

序盤はキョン自身による「アニソン基礎ボード」の振り返りから。

ただ、なかにはその選曲を巡って「波紋を投げかけた」ものも…

この「波紋」にも関係しうる論点を今回は取り扱っていきます。

過去の回での内容とここでの振り返りを受けて続いては、キョンの言う「私の考える基礎」観をピックアップ。

キョンは基礎という概念に対して、「全て統一して基礎」と呼べる存在があるのか問われると「とても怪しい」と答え、「その人自身が歩んできたそのものが基礎になり得る」という理由を基に「人それぞれに」「『基礎』がある」(n人の参加者にn個の基礎観がある)という自身の考えを再度明示。

現段階では、やすおもこの考え方に近いようです。

一方ソキウスは、キョン的な考え方にある程度は同意するが ―その点で基礎の数は「1」ではないと考えている―、(批評回( https://spoti.fi/3eqrcER )での様々な批評実践を踏まえた上で)全員がなんとなく同意している基礎を判断するポイントがある以上、基礎の数はn「ではない」という共同体内での共通了解の部分により焦点を当てた考えを基礎に対して持っています。

この考え方にキョンは、キョンは「基礎っていう言葉の捉え方も人それぞれある」という形で応答。

ソキウスは批評回でも論点として挙げた、「自身の中で何かしらの『評価』行為を既にしているということ」に加え、その評価の際には共同体内の共通了解として適切な理由付けを採用しているはずといった理由から、キョンの態度は文化に対して相対主義の立場を過度に採用しているのではと考えています。

キョンにとってはその基礎の数は「結果的に」nではない値になっているだけだという形で自身によって言語化されたので、ここからはリアタイ/後追い回( https://spoti.fi/3soo2aQ )も踏まえて、基礎という言葉を掲げるのであれば(特に)「現在までの」影響力を重視した方がいいのではないかというソキウスの問いに対する応答に対話はシフト。

という訳でここからは、振返り回でキョンが挙げた「視聴率」という指標に対しての態度を例に出しながら、基礎を考える上での「(当時の)知名度」(または「(当時の)肌感覚」)と「(現在までの)影響力」の捉え方について。

ここでソキウスは、(アニメ作品/アニメソングの歴史をざっと見ても分かるように)作品を見聞きする主な対象が時代とともに変化していることを確認し、そこから過度に「当時の」影響力の部分をピックアップしてしまうとそれは果たして(礎としての)基礎になるのかという点を疑問視。

これに対しキョンは「当時、知名度はあった」という理由を基に、「当時の人たちがこれはよく見ていた」という作品であればそれを基礎と置いていいという考え。実際の基礎ボードでは、現在までの影響力の点で基礎と呼べるだろうものを序盤に出題し、((場合によっては)当時の自身の肌感覚で判断された)知名度の点で基礎と呼んでもいいものを後半に出題する形を取ったようです。

ここでのキョン自身のリアタイ経験とその語り方から、キョンの「これは語られるべきだ」という態度を基にした、(キョンの言葉を借りるならば)自身の肌感覚を「客観的」なものに「する」作業がアニソン基礎ボードだったのではないかとソキウスは考えます。

基礎ボードに際してキョンは知名度だけでなく「重要度」も重視して選曲を行ったと語り、その点では現在までの影響力をも組み込んだ姿勢と言えますが、その上で(批評回でも取り上げたような)真偽を判断するような価値付け[Carroll 2009=2017]をよりそれ以上に採用するべきだったのではというのが、基礎と知名度/影響力との関係に対してのソキウスの考え。

その考えを基にした、

自身の知覚の伝達も真偽を判断するような価値付けもどちらも批評行為の一種であり[難波 2019]、基礎という概念もそのような批評行為の一種としてある種のランク付けを自身の中で行うという点では同じと捉えるならば、その「礎」を提示すると銘打って行う以上、(現在までの影響力をより考慮に入れているという点で)ランク付け行為の中でも「礎」という観点を内包した「真偽を判断するような」「価値付け」という理由付けの方法をより採用した方が良いのでは?

というキョンに対するソキウスの質問で前編は終了。

最後は、前編の簡単な総括と後編への予告。

「Butter-Fly」や「Agape」といった具体的な曲名も挙げながら、(以前の批評回の続きの内容でもある)「批評の目的」の違いといった論点にも触れていきます。

ぜひ、次回も併せてお聞きください。

【今回のキーワード】

アニメソング/基礎/評価/知名度/現在までの影響力/価値付け/(当時の)肌感覚/「重要度」

【参考文献】

Carroll, Noel, 2009, On Criticism, London: Routledge. (森功次訳, 2017, 『批評について――芸術批評の哲学』勁草書房.)

難波優輝, 2019, 「批評の新しい地図 : 目的、理由、推論」 『フィルカル : philosophy & culture : 分析哲学と文化をつなぐ』4(3): 260-301.