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本日のプレイリスト:https://spoti.fi/3PctSWY

(今回のメンバー:やすお、ナル、ソキウス)

「最古」とされるJ-POPとイントロクイズの独特な関係?

今回のテーマは「『最古』J-POP」。年代別/レベル別の場があるという現状を眺めてみた回( https://spoti.fi/30Av5DR )以降、両者をきちんと分けて論じてみようと試みてきましたが、今回はその中の「年代別」について扱います。

趣味としてイントロクイズを行っている人たちの中で使われることがあるこの言葉をきっかけに、狭い意味での「J-POP」という言葉や日本の音楽の歴史、さらには「年代」で分けることそれ自体について考えてみます。

【参考:難易度の回( https://spoti.fi/3ljEiXv )】

まずソキウスは、「最古J-POP」という言葉からどのような年代や特徴の要素をイメージするかについて各々に質問。

ナルは「1970年代以前」の日本の楽曲、やすおは「ポップと言っていいのか分からない」と一言添えた上で「戦後」すぐの時期の楽曲と、すでにこの段階で想定している年代が違うことが見えてきました。

【参照:「J-POP」ジャンル限定の回( https://spoti.fi/3fu3dWr )】

ここでのやすおの「最も古いが何を指しているのかよく分からないという感覚は後に再度取り挙げます。

先ほどの回答を受けてソキウスは、ナルが70年代以前の楽曲を「最古」と考えている理由を質問。

ナルは自身が運営している場での実践として、「自分と年代の近い人たちが活躍できる」ように、21世紀の楽曲に対して「細かく」発売時期の区切りを設定。ナルが抱く「昭和歌謡」へのイメージからの影響も受けながら、自身の中で「一番遠いところにある」と見なした年代以前のものを試行錯誤のもとで「最古」として区切っていると明かしました。

それに対してソキウスは、 ―そもそもナル自身が特定の年代以前を「一番遠いところ」と考えていることも後述する違いに含まれるが、― 文字通りの意味で考えれば80年代も「昭和歌謡」ではある、そしてやすおは「戦後」すぐを「最古」としているといった、歴史性の捉え方の違いが現に言える以上、70年代以前を「最古」と置くことに本質的な意味はどこまであるのかをナルに引き続き問います。

ナルはある特定の年代それ自体の特徴というよりかは、自身(と、もしくは(例えば、ナルが主催する場に参加するような)自身が所属する文化圏)の中で、このように分けるのが「良い」と思われる何らかの目安が自身の「最古」の考え方の中にはあるだろうと答えました。

ここでソキウスはJ-POPという言葉が持つ歴史性について、狭義の意味でのJ-POPが誕生した経緯を紹介。[烏賀陽 2005]

元々はJ-WAVEというラジオ局の中で生まれたJ-POPという言葉が、それ以前に使われていた音楽ジャンルを指す言葉が持つ意味合いを変えていった[cf. 宮入 2015]ことをこの言葉の歴史性として挙げます。

さらにこれに加えて日本の音楽全体での歴史も考慮したうえでソキウスは、今回の前半でのナルとの対話で挙がった論点は、やすおの言う「最古」=「戦後」すぐという考え方にも適用できるだろうとし、やすおの「日本のポップスに対する歴史の感覚」をここで問います。

やすおは、ここでソキウスが述べたようなJ-POPという言葉の本質的だと思っている要素は歴史性の観点からある程度「相対化」されうるという点について「確かにそうだな」と同意し、ここでの「最古」のような年代の捉え方が、ある「コミュニティ」が想定している歴史の感覚を示す「物差し」になっている可能性についてここで言及しました。

この歴史の感覚についてナルは、当初「音楽界の中に」年代についての何かしらの本質的な要素が提示されていると考えていたこともあり、ここでの「相対化」を受けて「捉え方の一つ」として自身でもその感覚を意識し出していました。

ここまで「最古」で限定して考えてきたものの、ソキウスは、この「相対化」は年代で「分けること」自体でも言えるだろうという意見。ある年代が次の年代へ進むその瞬間に音楽的な特質が変化するわけでないのならばその「相対化」は可能だと考えています。

(本編でも言及しているとおり、ある10年間で区切ったら何かしらの性質は浮かび上がるかもしれないが、それは因果を逆にして考えてみたときの結果だというのがソキウスの考えです。)

ソキウスは、年代で分けることがある集団にとって「便利」だから用いているのであって、分け方自体に本質的な意味はないというこの考え方に対しての意見をナルに質問。

ナルは、70年代と2020年代とではその性質の変化は見える形で現れているだろうとしたうえで、この「便利」の考え方に同意します。

音楽の嗜好に関する調査の分析を引用した「音楽生活的な『老後』」回( https:/spoti.fi/3bgmhZa )での「横滑り」を踏まえるのであれば、(個人の嗜好の違いを焦点とするのではなく)ある年齢層の傾向を問題としたとき、その年齢層の人たちが好んでいる楽曲が存在する期間として挙げる可能性が高い特定の時期を集中して取り上げたいという欲望が、年代別という分け方を「便利」だと思う中にはあるのではないかというのがソキウスの年代別に対する考え。

また年代別という考え方を、個人や集団内での感覚だけでなく、イントロクイズの出題者という視点で考えてみても、出題リストに入れ込む楽曲の「バランス」を取るうえで半ば「無意識」的に取り入れられるほど「都合の良い」ものになっているとナルは語ります。

ここでの「数字」という形ではっきりと示される年代は出題者としても都合が良いので「便利」だという点は、集団での「便利」さと意味している内容は異なるものの、「便利」という概念で年代別が捉えられること自体では一致していると言えるでしょう。

イントロクイズの場で、そして場合によっては音楽を聴く行為全体でも「無意識」に働くことがある、年代で分ける考え方は、今回取り扱ったようなJ-POPという言葉の歴史性を踏まえてみると、そこまで自明性のあるものではないということを受けて、これを聞いてくださった方は何を考えるでしょうか?

【本日の一曲】

毎回最後に1分以内で今紹介したい1曲を持ち回りで語ってもらう「本日の一曲」。

今回はソキウスが、テレビ番組のスタッフが制作した楽曲を紹介。

ゲームと音楽の関係がおもしろいです。

【今回のキーワード】

最古J-POP/J-POPの歴史/昭和歌謡/J-WAVE/音楽ジャンル/歴史観/年代で分けることの自明性/「便利」/無意識的なバランスとしての年代/数値と客観性/『ゲームセンターCX』/ワタナベユーコ

【参考資料】

烏賀陽弘道, 2005, 『Jポップとは何か――巨大化する音楽産業』岩波書店.

宮入恭平, 2015, 『J-POP文化論』彩流社.