「ヤンキーに本読ませなきゃだめだよ」。かつて『桃尻語訳 枕草子』(河出文庫)で話題をまいた橋本治が、《日本の知性の劣化を話題にするときにどのように介入していけるのか、そこを試み》た一冊を、当夜ではめぐっていきます。
「自分は反知性主義者か?」と自問して、「そうじゃないだろう」と思う。私は、反知性主義が下品で嫌いだが、しかし私の中には「知性なんか噓臭ェ」と思う気持ちも歴然とある。私の中には「勉強なんか嫌いだ」と思う子供もまだ健在だから、私は「ヤンキー」でもあるし「反知性主義」でもある。堅気面をしている反知性主義者より、不良が入ってる分だけ「ヤンキー」の方がましだとは思うが、しかし私は「ヤンキー」だって好きじゃない。
(『知性の顚覆』新書のためのまえがき より)
反知性主義は下品で嫌い。でも知性もどこか噓くさい。とはいえ勉強嫌いの「ヤンキー」にも肩入れできない。そんな仮面(ペルソナ)をつけることのない「たくさんの橋本」が躍如する一冊です。
【千夜千冊】1792夜『知性の転覆』
【当夜のオツ千】バカ装置を顛覆しちゃえば(1792夜『知性の顚覆』)