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第4回『日露戦争と高橋是清から学ぶ資金調達戦略(前編)』というテーマについて株式会社エービーエフキャピタルのメンバーが多角的な視点で語ります。

【ハイライト】

・日露戦争を振り返る

・高橋是清という人物の凄さとは?

・ドン底から這い上がるバイタリティーを培うには?

・20世紀最初の日本の金融情勢について

・日露戦争時に日本はどのように資金調達を行ったか?(前編)

1. 歴史から学ぶファンド論──「日露戦争」という究極の資金調達戦

今回のテーマは、異色ともいえる「日露戦争」。伊達が選んだこのトピックは、実は現代のファイナンスに通じる深い示唆を含んでいます。1904年に始まったこの戦争では、当時日本中の銀行にある預金総額(約8億円)をはるかに超える18億円を戦費として投入。これは現代日本がGDPの何倍もの資金を海外から借りて戦うような、異常な規模でした。

1986年まで返済が続いたとも言われるこの戦費の調達は、まさに国家の命運を賭けた金融戦争。ファンドを運用するABFメンバーにとっても、歴史の中にある極限のファイナンス事例から学ぶことは多いのです。

2. 高橋是清という“バケモノ”財務官僚──奴隷から総理大臣へ

その日露戦争の資金調達を担ったのが、後に「天才財政家」と呼ばれる高橋是清。驚くべきはその経歴──仙台藩の足軽の家に生まれ、少年期に横浜の銀行家に仕えながら英語を習得。留学中にアメリカで奴隷契約を結ばれ、逃げ出して自由を勝ち取るという激動の若年期を経て、最終的には総理大臣にまで上り詰めました。

しかも途中で米相場や鉱山経営などで2度の破産。そのたびに立ち上がり、日銀副総裁へ。まさに「行動力と語学力だけでのし上がった」型破りな人物。彼の波乱万丈すぎる人生には、現代のスタートアップ創業者にも通じるサバイブ力が感じられます。

3. 世界を相手に戦った資金調達──日英同盟とモルガン・リーマンの裏側

当時の日本はロシアの1/3のGDP、しかも重工業も脆弱という構造。必要なのは外貨であり、そのために国債をロンドンやニューヨーク市場で発行する必要がありました。しかし、日本国債の利回りは5%超。当時の世界基準でも高リスク国とされていた日本にとって、資金調達は困難を極めます。

そこで協力を得たのが、現在のJPモルガン、モルガン・スタンレー、そしてかつて存在したリーマン・ブラザーズの前身たち。彼らの潤沢な資本と仲介を通じて、ようやく調達が実現したのです。伊達さん曰く「今で言えば、シリーズDの調達をいきなり外資大手から引くような話」。この規模感と緊迫感は、今のファンド運用者にも通じるものがあります。

4. ギリギリの資本政策──市場崩壊と個人の買い支え

開戦と同時に、日本国内の証券市場は暴落。誰も勝てると思っていなかった中、日露戦争への期待値はほぼゼロに。ここで驚くのが、東京一の資産家・渡辺銀行創業者が個人で市場を買い支えたという逸話。なんと当時の取引所理事長が追証を免除することで買い支えを依頼したという、今では考えられない“全力忖度”が行われていました。

その後この人物が暴落を引き起こす要因となるのもまた皮肉ですが、「国が傾く時には、誰かが非常識なことを引き受ける」という事実は、歴史の教訓として今も残ります。

5. 歴史を“自分ごと”として読む──資金調達の原点にあるもの

今回の話題は単なる歴史の振り返りではなく、現代のファイナンスに直結するエッセンスに満ちています。「極限状態での資金調達」「信頼関係でしか引けない調達」「市場心理をどう動かすか」──これらはファンドを運用するABFメンバーが日常的に直面している問いと本質的に同じです。

「過去は未来のヒントになる」。伊達のセレクトは、まさにその言葉を地で行くような知的刺激にあふれた一回でした。今後も、過去から学び、現代を深く掘り下げていくこのシリーズ。次回もどうぞお楽しみに。

~お知らせ~

株式会社エービーエフキャピタルのメンバーがそれぞれ日々気になる事、書籍、日々の悩み等何気ないテーマから、経営戦略や投資実行等の広くビジネスに生かせる話題に至るまで、戦略コンサルタント、ファイナンスプロ、データアナリストのプロフェッショナルが多角的な視点で語るトーク番組です。

パーソナリティー:

熊原 充志(株式会社 ABF Capital代表取締役)

東京大学理学部物理学科卒業後、同大学院理学系研究科物理学専攻に進学し、宇宙物理学を専攻。

新卒でBCGに入社、メーカー・ファンド・製薬・通信会社などの業界を担当。

その後アドバンテッジパートナーズに入社し、多様な領域への投資を実行。

伊達 慶明(株式会社 ABF Capital取締役)

京都大学農学部応用生命科学科卒業後、同大学院農学研究科に進学し、生命科学を専攻。

新卒でBCGに入社、通信・メディア・物流・電力・産業材など幅広い業界を担当。

一貫してビックデータ・地図を扱った戦略の立案を行う。

中野 拓真(株式会社 ABF Capital取締役)

東京大学理学部地球惑星物理学科卒業後、同大学院理学系研究科地球惑星科学専攻に進学し、気象学を専攻。

新卒でBCGに入社、小売・エネルギー・通信会社などの業界を担当。

経営戦略の立案だけでなく、成果の創出までクライアントを幅広く支援。

番組プロデュース:株式会社サンキャリア

カバーアート制作:小野寺玲奈

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