今回は聡一郎が受けてきた年金アドバイザー3級という資格試験についてお話したいと思います。
まず、年金アドバイザーという資格4級から2級まであり、主として金融機関の渉外担当や窓口業務を行う人がお客さんからの年金に関する仕組みや支給要件、年金額や受給手続きについて答えられるように正しい知識を身につけることを目的としたものです。
ざっくりいうと、お金にまつわる会社の窓口係さんが必要な知識を身につけるための資格になっています。
受検者数の割合をみると、地方銀行、信託銀行、信用金庫などの銀行に勤める方が20%、その他団体が30%、郵便局に勤める方が50%となってます。
ゆうちょの担当者が大勢受けているんですね。
試験は3月と10月で2回行われているのですが、CBT方式という試験センターのPCを使って受ける方法も採用されており、CBTは自分の好きなタイミングで何回でも受験することができます。
この年金アドバイザーという資格なのですが、僕が目指している社会保険労務士の試験内容に重複することが多いんです。
基礎的な知識はもちろんのこと、厚生年金、国民年金支払年数と受給金額、加算の仕組みや計算式といったわりと細かい知識が必要となるのがこの資格の特徴です。
受検してみた感想ですが、「想定より細かい」ですね。
2週間とはいえ、毎日過去問は解いていたので、それなりに結果は出るかと思ったのですが、わからないことや想定外の問題が多くて驚きました。
ということで、試験の内容について話をしていきます。
年金アドバイザー3級試験は1.公的年金の大まかな仕組みについて、2.老齢給付について、3.障害給付について、4.遺族給付について、5.その他の年金についての5つの範囲に分けられています。
1の公的年金のおおまかな仕組みでは、年金の加入者数についてや、沿革、また医療保険や介護保険についても問われます。
具体的な問題の例を出すと、
「20歳未満で厚生年金保険の被保険者資格を取得した者は20歳に達した時に国民年金の第二号被保険者となる。〇か×か」といった問題が5問択一で出題されます。
ちなみに、この問題の答えは×です。
基本的に年金の加入要件は20歳からではあるのですが、高卒で働いている場合などは、入社したときに厚生年金に加入することになるため、20歳未満でも加入者になるよというのが正しい解説となります。
次は年金と言えば誰しもが一番にイメージする老齢年金についてです。
老齢年金の範囲では、年金の被保険者区分によって分けられている保険料納付済み期間や合算対象期間、国庫負担割合などが出題をされます。
「老齢基礎年金を繰り下げ受給した場合、振替加算も同じ増額率で増額して加算される〇か×か」
答えは×です。
65歳以上になると老齢年金を受け取ることができるのですが、老齢年金は、60歳から65歳になるまでに申請をすると早く受け取る繰り上げ受給という制度と、65歳から70歳までの間に先延ばしにできる繰り下げ受給という制度があります。
繰り上げた場合は、年金を早くもらうことになるので、1か月につき受給金額から0.4%減額され、繰り下げた場合は受け取る期間が遅くなるので、受給金額から0.7%増額される仕組みになっています。
そして、問題にでてきた振替加算とは、大正15年から昭和41年までに生まれた厚生年金をかけている人、つまりサラリーマンだったご主人が、65歳になったときに配偶者の年金に加算をしますよという制度になっています。
わかりやすくいうと、昔に生まれたおばあさんは国民年金しかかけていないので、旦那さんの老齢厚生年金に、おばあさんの分でちょっと金額を足してあげましょうという加算です。
このおじいさんが65歳から70歳までの間に年金を先延ばしにしてもらいますねという約束を、国とした場合に、「おばあさんちょこっと足してあげます加算」も増えますか?という質問なので、
「あらやだ、おじいさん。わたしの年金は増えませんよ」というのが答えです。
次は、事故などで障害を負ってしまった場合に受けることのできる障害年金です。
障害年金の問題では、初診日から継続して通院をした1年半後の障害認定日がキーワードになり、お子さんが居る場合にもらえる子の加算額や、実際に受け取ることのできる障害厚生年金を合わせた給付の金額などについて問われます。
問題の例だと、「障害基礎年金を受給している人に配偶者がいた場合、配偶者加給年金は加算される〇か×か」
答えは×で、障害基礎年金には子供の加算しかなく、障害厚生年金には奥さんといった配偶者への加算があります。
次は、遺族年金です。
遺族年金を受け取ることのできる遺族の範囲や、受給要件、支給停止になる場合の条件などが問われます。
問題の例は「遺族厚生年金の中高齢寡婦加算の額は遺族基礎年金の4分の3に相当する〇か×か」
答えは×です。
サラリーマンが死んだ場合、またはサラリーマンだった時に病気になり、5年以内に死んでしまった場合などに、残された遺族は遺族厚生年金を受け取ることができます。
中高齢寡婦加算とは、40歳~65歳までの子供のない奥さんがもらえる加算です。
子供がいると遺族基礎年金がもらえるのですが、その子が18歳の年度末を迎えると遺族基礎年金は無くなってしまうので、その代わりに奥さんがもらえます。
最後の範囲はその他の年金についてです。
年金定期便の内容や、厚生年金基金について、離婚時の年金分割や、年金にかかる雑所得の計算方法について問われます。
問題の例は、「確定給付企業年金の年金給付は原則として2ヵ月に一度、支給しなければならない〇か×か」
答えは×です。確定給付企業年金には企業が外部の資産管理運用期間に契約する規約型企業年金と、基金型企業年金があり、どちらも年に1度、定期的に年金を支給しなければなりません。
これらが、年金アドバイザー3級の出題範囲なのですが、いままで紹介したような基本問題に加えて、この試験の最も肝となるのが実際の年金の計算が出題される技能応用問題があり、この難易度が細かくて高いです。
ある例題には本人の生年月日、入社年月日と退社日、配偶者の有無、平均標準報酬額等が書かれており、答えの選択肢には数百万何千円といった金額が書かれています。
厚生年金には、男性なら昭和33年まで、女性なら昭和37年までに生まれた場合に、60歳から65歳までに受け取ることのできる特別支給の制度があるのですが、見込まれる加算などを複合して実際に計算をしなければなりません。
僕は算数ができないので、電卓を用いても、答えを算出するのが非常に難しかったです。
計算式くらいは覚えられたんですが、金額だけの選択肢だと計算ミスがあっても気づくのができずに脳内が迷子になってしまいました。
といっても計算問題ばかりではなく、基礎的な理解があれば解ける問題も多いので、今後も継続して勉強を続けて、秋くらいにリベンジができたら良いなと思っています。
ということで、今回は年金アドバイザー試験の出題範囲と問題についての紹介をいたしました。
本放送は経済法令研究会出版 銀行業務検定試験年金アドバイザー3級公式テキストを参考にしています。