サザエさん一家が受けられる保障や加入している制度について、今回はお話をしていきます。
さて、まず最初にサザエさん一家が加入している公的年金制度から考えていきたいと思います。
知らない人にもわかるように説明をすると、サザエさんとは一児の息子がいる子持ちの主婦で24歳の女性です。両親、亭主、小学生の弟妹と同居しているので、7人家族です。
タマという猫もいますが、ペット保険は加入していたとしても、民間サービスであり、補償内容についても企業によって異なるため割愛します。
さて、先ほど話した、サザエさん、マスオさん、タラちゃん、浪平さん、船さん、カツオくん、わかめちゃんの7人はそれぞれ、公的保険に加入しています。
さて、どういったものが該当するか、世帯ごとで考えてみましょう。
サザエさんとタラちゃんはマスオさんの扶養家族であるため、浪平さんと同居していますが、世帯としては別となります。
マスオさん、サザエさん、タラちゃんの加入している公的保険はどのようなものがあるでしょうか。
まず、マスオさんですが、海山商事という株式会社法人で勤務しているため、サラリーマンとして加入するべき5つの公的保険の被保険者となります。
まず、健康保険、そして厚生年金と国民年金、そして雇用保険と労働災害保険の被保険者となります。
そして、サザエさんは、健康保険の被扶養者であり、国民年金の第2号被保険者の配偶者であるため、サザエさんは国民年金の第3号被保険者となります。
タラちゃんは健康保険の被保険者ですね。6歳未満なので病院に行くと自己負担額は2割です。
残りの浪平さん、船さん、カツオくん、わかめちゃんですね。基本的には加入する公的保険はおなじですが、
浪平さん、船さんは、サザエさん夫妻よりも加入している公的保険が1つ多くなり、介護保険に加入します。
介護保険は65歳以上が第一号被保険者、40歳以上から65歳未満は第二号被保険者となります。介護保険の第二号被保険者になると介護保険料が控除されます。
さて、では次によむお話から、具体的な補償について、例を出して考えてみましょう。
マスオさんは日曜日にアナゴさん、ノリスケさんと一緒にゴルフに出かけました。しかし、途中で頭が痛くなりプレイを断念し、なんと救急車で搬送されてしまいました。
お医者さんの対応で、症状はよくなりましたが、しばらく入院することになりました。
月曜日から2週間後の日曜日まで会社はお休みすることになり、サザエさんは「入院費用も高いし、お給料も下がるのよねえ。困ったわ、ノリスケさんが誘ったりするから」とタイコさんに意地悪を言いました。
マスオさんのお給料は30万円です。
さて、マスオさんはどのような給付をいくら受けることができるか考えていきましょう。
まず、マスオさんは病気のため働くことができないので、健康保険から傷病手当を受け取ることができます。
お給料が30万円のマスオさんは傷病手当をいくらもらえるか考えていきましょう。
健康保険法ではお給料を標準報酬月額というのですが、それをまず30日で割ることで一日の標準報酬日額を出し、その日額の2/3が貰えます。
マスオさんの給与は30万円なので日額は1万円、その2/3だと6600円くらいですね。
ただ、傷病手当は病気やケガをしてから3日間の待期期間が完了するまで貰えません。仕事をしているときのケガであればその日から数えて3日後ですが、マスオさんは日曜日に病気になったので、月曜、火曜、水曜日が待期期間となり、木曜日から土日も含めて病気で労務に服することのできない期間で給付を受けることができます。
この場合だと木曜日から翌週の日曜日なので、11日×6600円=72600円が傷病手当の金額となります。
54歳の波平さんは6年後に60歳で定年を迎えるため、退職することに決めました。カツオくんは11歳、わかめちゃんは9歳のため、6年後だと17歳と15歳になります。高校在学中に無収入では不安ですが、働く気にはなれません。
「そうじゃ、いいことを思いついた。定年したらハローワークで失業給付を貰えばいいんじゃ」浪平さんはそういうと、笑顔で趣味の盆栽を買いに出かけていきました。
波平さんのお給料は50万円です。
さて、失業給付はどれくらいの期間でいくら受け取ることができるかを考えていきましょう。
雇用保険の給付額は賃金日額という金額を基本として計算します。
賃金日額は、6か月間のお給料の総額を180で割ることで算出し、浪平さんの場合は50万×6か月=300万÷180日で1.6万円です。
そして、基本手当の額は、賃金日額が2500円以上5000円未満は80%などと年齢ごとに金額で分けて定められた給付率をかけて算出します。
波平さんは賃金日額が1.6万円と高額で、60歳以上で定年するため、45%の給付率をかけて、7200円が基本手当の額となります。
さて、次は貰える期間についてです。
60歳以上の定年退職者の場合は、離職後に一定の期間でゆっくり過ごしたい人には基本手当の延長が認められています。
定年退職者の基本手当が貰える基礎期間の1年に加えて、退職から2か月以内に申請することで、もう1年の延長が可能となります。
波平さんは基本手当が7200円×30日=216000円×12か月=259万円×2年間=518万円を受け取ることが可能です。
今回、参考にした書籍があるのですが、紹介できなかったエピソードの他にも、「パートの帰りにケガをしたタイコさん」や、「マスオさんの職業訓練」「年金請求を忘れたイササカ先生」など本放送ではなかなか見ることができないお話がたくさん掲載されています。
著者が特定社会保険労務士として活躍されている梅本達志さんという方で、他にも労働法や夫婦でもらえる公的給付などを書籍で紹介されています。
社労士の勉強をしている方は、教科書の内容をサザエさんがかみ砕いてくれるので、息抜きに良いかもしれません。
今回は、東京堂出版 ここが変わったサザエさん一家の公的保険を参考にしております。