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働き方改革は大きく分けて2つ政策にわかれています。

1つが「長時間労働の是正」、2つめが「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」です。

長時間労働の是正には、8つの改正がありました。
1, フレックスタイム制の改正、
2, 時間外労働の上限見直し
3, 割増賃金の猶予措置廃止
4, 年次有給休暇の時期指定義務
5, 高度プロフェッショナル制度の創設
6, 労働基準法の罰則追加
7, 勤務菅インターバルの普及
8, 産業医の機能強化
です。

フレックスタイム制では忙しい時期とそうでない時期の出社退社の時刻や労働時間を、労働者に決定させることで、より働きやすくするための制度です。
改正までは清算期間が1か月だったのですが、令和元年より3か月に変更となったため、最長で3か月の期間を平均して、1日8時間、週40時間の労働時間となれば良いことになりました。

また、清算期間が3か月といえども、1か月の平均労働時間が週50時間以上となった場合は、1か月単位で割増賃金を算定しなければなりません。

2「時間外労働の上限規制の見直し」

36協定とは時間外、休日労働に関する協定のことで、改正前にも労働時間の上限はありましたが、臨時的な特別な事情がある場合は、上限を超えて時間外労働をさせることができていました。
過労死で注目を浴びた、電通時間がきっかけとなり、過労死ラインが明確に示され、それ以上の労働は違法となりました。
36協定を締結した場合、原則として時間外労働は45時間/月、360時間/年が基本となっており、シフト制などで変形労働制となっている人は42時間/月、320時間/年です。

そして臨時の場合では、100時間/月、720時間/年を超えることはできなくなりました。
また、時間外労働が継続する場合は2~6か月で平均して80時間を越えてはいけないという決まりも作られました。

3「中小企業の時間外労働が月60時間を超えた場合の割増賃金が50%義務化」

改正までは大企業のみが適用となっていた60時間越えの割増賃金50%ですが、R5年より中小企業も適用となりました。
これは、先ほど話した過労死ラインを超えるような時間外労働を防止するための措置ですね。

4「年次有給休暇の時期指定義務」

日本人の有給消化率が国際的にみて低いことから、10日を超える有給がある労働者に5日を超える部分を会社が時期を定めて与えなければならないという規定が作られました。
調査を行ったのは先進国のうち19の国です。

世界的な旅行ブランドの「エクスペディア」という企業が行った調査では、1位はタイ、2位は台湾、3位はドイツだったそうです。
日本は調査をした19か国のうち16位、有給消化率は60%だそうです。

5「高度プロフェッショナル制度の創設」

なかなか聞きなれない言葉だと思うのですが、この制度では、高度な専門的な知識が必要で、業務に従事した時間と成果の関連性が高くないと認められた働き方をしている人が対象になります。

具体的には、コンサルタント、金融商品の開発、研究業務などとなります。

高度プロフェッショナルとして働く人は、労働時間、休憩、休日、深夜労働に関する割増賃金の規定が適用されません。

その代わり、1075万以上の年収の保障や、労働時間の代わりに健康管理時間という名称で事業主に労働時間の管理をするように義務付けられています。

6「時間外労働が上限を超えた際の罰則規定追加」
今回の法改正の目的は、長時間労働の是正です。
そのため、上限を超えて働かせた事業主には6か月以上の懲役もしくは30万円以下の罰金の規定が定められました。

労働基準法では、脅したり、脅迫したりすることで強制的に働かせることを禁止しており、その罰則は1年以下の懲役、または20万以上300万円以下の罰金が定められています。
むりやり、怖い目に合わせて働かせてはいけないということですね。

7「勤務間インターバルの努力義務化」

ヨーロッパなどでは普及している考え方なのですが、1日目の就業時間が21:00だったとして、翌日の勤務は11時間の休息時間を設定して、8時以降にスタートできるようにしてあげましょうねというものです。

仕事がおわってすぐにまた出社の準備では疲れてしまいますし、お家でゆっくりする時間は大切ですからね。

政府は過労死防止大綱という方針を立てて、勤務間インターバル制度を知らない企業を20%未満
勤務間インターバル制度を導入している会社を10%以上とするというのが目標になっているようです。

8「産業医、産業保健機能の強化」

現在は、50人以上の労働者を雇用する企業は1名以上の産業医を選任することが労働安全衛生法で義務付けられています。

時間外労働が長く、疲労がたまっている人には医師の面談を勧めたり、お医者さんは労働者の健康に問題があると思ったときは、事業者に勧告ができるようになりました。

5つ目で話した高度プロフェッショナル制度で働く人には、一定の時間を超えた労働をした人にお医者さんの面談を行うように義務化もされました。

さて、今までお話したのが長時間労働の是正について、次は「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」、いわゆる「同一労働同一賃金」についてお話をしていきます。

まず、「同一労働同一賃金」という言葉から、「同じ仕事なんだから、パートさんも契約社員も正社員も、同じお給料じゃないとおかしいぞ」というようなイメージを持ちますが、実際は少し違います。

同一労働同一賃金では3つのポイントがあります。
1. 有期労働者と無期労働者との不合理な格差の禁止
2. パート労働法、労働契約法の改正
3. 労働者派遣法の改正

政府が課題としているのは、非正規社員の増加に伴う、正規社員との賃金格差で、この法律も格差の改善を目的としています。

そして、不合理な扱いであるかは、職務の内容、配置転換の有無などで判断をするようになっています。

例をあげると、正社員には住宅手当や家族手当が出ているけれど、契約社員には出ていないといった場合に、理由が業務に関することか、福利厚生の一環なのかでも判断はかわります。

具体的な手当てや支払い方法の名称が法律で定められているわけではなく、企業の努力で是正してねといった内容になっています。

労働契約法の改正については、パート労働法に有期雇用労働者が追加され、雇い入れ時の説明義務や差別的取り扱いの義務の範囲が、有期雇用労働者にも広がったようです。

派遣法については、派遣先に雇用される労働者の待遇との間で、職務内容や、配置といった事情を考慮し、不合理な違いを設けてはいけませんという規定が定められました。

これで、今回の働き方改革についてのテーマはおしまいなのですが、ゆきさんは聞いてみてどうだったでしょうか?

個人的には、長時間労働の是正は時間や賃金に細かな規定が追加されて、なんとなくみんなが健康に働ける社会に近づいているように思ったのですが、

同一労働同一賃金に関しては、いまいち具体案も見えてこず、企業に投げっぱなしになっているような印象を受けました。

実際の数字を調べてみると、非正規社員の割合は低下しており、賃金格差も2005年から横ばいなので、実際には解決すべき問題が、もっと違う側面から判断していくものなのかなと思いました。

今回は、自由国民社 さくっと早わかり働き方改革法で労務管理はこう変わる
総務省 労働力調査
内閣府 正社員・非正社員の賃金差の現状
を参考にしています。