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今日は、労働分野における社会調査についてお話をしていきたいと思います。

さて、社会調査というとどんなものがあるかイメージできますか?

基幹統計調査や、国民の所得にまつわる国勢調査、最近では政府から無作為抽出で携帯電話に岸田内閣を支持するかどうかなんて電話もかかってきますよね。

そういった社会調査の労働に関する調査が、社会保険労務士の試験範囲でもあるので、今回はどんな調査が行われているのか、またその結果についてお話をしていきたいと思います。

今回紹介する労働調査の代表的なものは10個あり、それぞれクイズ形式で、何を調べるのかを一緒に考えていきましょう。

1つめ 労働力調査

労働力調査は行政機関が作成する統計のうち総務大臣が指定する特に重要な統計である、基幹統計調査の1つです。

労働力調査では、労働力人口比率、完全失業者数、完全失業率を発表しています。

ちなみに、完全失業率という数字は聞いたことがありますか?

完全失業者は労働力人口に占める完全失業者の割合なのですが、ではクエスチョンです。

日本で定義されている労働力人口は年齢に決められた範囲があるのですが、何歳から何歳まででしょうか?

正解は15歳から65歳まで。義務教育終了から定年後の継続雇用が終了する年齢までが労働力とされています。バイトにはじまり、バイトに終わる年齢ですね。

2つめ 毎月勤労統計調査

毎月勤労統計調査も期間統計調査として重要な位置づけになっている調査です。

勤労統計調査は、労働時間、常勤労働者数、パート労働者数、現金給与、出勤日数などを調べる調査です。

ちなみに、勤労統計調査の際に嘘をついて報告をすると罰則が定められているのですが、それはどんな罰でしょうか?

惜しかったですね。答えは罰金50万円でした、

3つめは就労条件総合調査です。

就労条件総合調査は主要産業における労働時間、賃金制度を総合的に調査を行い、週休2日制をとっている会社の割合、年次有給休暇の取得日数などを公表しています。

ちなみに、19回の働き方改革で、年次有給休暇の取得率についておしゃべりしましたが、日本で完全週休2日制をとっている会社は何%くらいだとおもいますか?

。正解はR3年度で48%でした。意外と少ないんですね。

4つめは雇用動向調査

雇用動向調査は主要産業の入職、離職の割合、未充足求人の情報などを調べています。

入職割合は24歳までの若者が多く、55歳以上に離職者が多いという結果になっているようです。

5つめは雇用均等基本調査

雇用均等調査では、男女の雇用管理の実態把握、育児休業、介護休業の取得割合などを公表しています。

さて、今年度の法改正でも、お父さんの育児休業取得について、会社がサポートする仕組みができてきているのですが、R2年時点で、育児休業を開始したパパの割合ってどれくらいだと思いますか?

答えは12%です。女性は81%なので、数字で比較すると低く感じますが、今まで男性の育休という文化がなかったことから考えると、ずいぶん周りでも育休を取るお父さんがふえているなという印象を受けます。

6つめ就業構造基本調査

就業構造基本調査は就業構造基本統計を作成するための調査であり、国民の就業、不就業を調査しています。

自営業、会社員などの職種も調査項目となっており、自ら会社を立ち上げた起業家の男女比なども発表されています。ところで、日本の起業家は男性8割、女性2割となっているのですが、さて女性起業家の人数は何人でしょうか?

正解は92万人です、いっぱいいますね、女性社長。

7つめ若年者雇用実態調査

若年者雇用実態調査は若者の雇用状況や就業に関する意識を事業者、労働者の両者から調査をしています。

若者の採用選考をした会社に採用にあたり重視する点なんかもアンケートとしてまとめているのですが、中途、新卒ともに、高くなっている項目があるのですが、さてどんなことが重要視されると思いますか?

惜しいですね。一番高かったのは、「勤労意欲、チャレンジ精神」77%、次は「コミュニケーション能力」71%、「マナー、社会常識」61%となっています。

どの会社も求められる人物像はある程度、似通ってくるんですね。

8つめ賃金引上げの実態に関する調査

民間企業における賃金、給与の改定額、改定率、賞与の改定方法などを把握するための調査です。

一番新しいニュースだとキリンビールが収益の一部をベースアップに充てると発表していました。R4年の春闘だと2%が日本全国で平均的な昇給率だと発表されているようです。

また、世界的な昇給率の割合を比較すると中国が6%、香港3.4%、韓国4%とアジア圏だけで見ても、日本の昇給率は低いようです。(コーンフェリー 世界報酬動向調査)

9つめ、労働組合基礎調査

労働組合基礎調査は、労働組合、の企業規模や組織の実態についての調査です。

労働組合に占めるパート従業員や非正規労働者の割合などを公表しています。

そして最後、10番目が能力開発基本調査です。

能力開発基本調査では、企業の教育訓練費用や、労働者の能力開発状況を調べています。

能力開発に課題があるとして、最も高いのは指導する人材不足と発表されており、そのうちわけは人材育成を行う時間がなかったり、指導する人材の不足などが課題とされています。

さて、いかがでしたか?

表面的にしか調べていないので、調査内容や結果等はそこまで深く掘り下げてはいないのですが、同じような統計が多くてちょっと困惑しました。

ただ、同じような質問でも、調べる内容によっては異なる切り口や、新しい気づきにつながるのでしょうね。

参考文献:コーンフェリー 世界報酬動向調査、通信教育フォーサイト労務管理その他の労働に関する一般常識テキスト