働くうえでの基礎知識 労働法って何?
今回は、第47回ですね。
新年最初のテーマとして労働法についてお話をしていきます。
今回は以前話をしたジョブ型雇用の回と同じく読書感想的な回となります。
労働法とは労働者と経営者という異なる立場から生じる不利益が平等になるように設定された「働くための法律」全般を指す言葉です。
労働法は働く人、雇う人のバランスを調整するために作られています。
少し、考えてみてほしいのですが、何のルールもない状態だと、経営者と労働者はどちらの力が強いでしょうか?
労働法という概念が出来上がったのは産業革命のイギリスまで遡ります。
産業革命直後のイギリスには工場が多くつくられ、街には労働者が溢れました。そして、経営者にとっては「労働者の代わりがいくらでも居る」状態が生まれており、工場法が制定されるまでは労働者が一方的に搾取されるといった歴史的背景があります。
そのため、労働者が経営者と対等な交渉ができるようにするという目的のもとで、労働法が制定されています。
労働法とは、健康保険法や介護保険法などのように「労働法」という1つの法律でルールが定められているわけではなく、沢山の労働に関する法律がまとまって「労働法」という概念を構成しています。
「労働法」という大きなまとまりには、様々な労働に関する法律が3つのグループに分けられて考えられます。
1つ目は、個別の労働条件を定めた「個別労働法」
2つめは、集団の労働条件を定めた「集団労働法」
3つめは、働くためのルールを定めた「労働市場法」です。
「個別労働法」のグループには
就業規則や賃金などを定めた労働基準法
事業場の安全や機械の取り扱いにおついて定めた労働安全衛生法
地域や職業ごとに時間に応じて定めた最低賃金法
業務上の事故や通勤災害での補償について定めた労働災害保険法、
労働者派遣事業者が派遣をするための賃金や期間などのルールを定めた労働者派遣法があります。
「集団労働法」のグループには
ストライキなど、労働者が団結して使用者に交渉するためのルールを定めた労働組合法や労働関係調整法
「労働市場法」のグループには
失業した際の給付や職業訓練給付などの制度を定めた雇用保険法
一定の割合で障碍者の雇用を義務付けている障害者雇用促進法
定年後の高齢者に対して労働環境や賃金を補償するための高年齢雇用安定法などがあります。
さて、冒頭で労働者と経営者の立場によって生じる不利益の差を埋める「利害の調整」が労働法の目的だとお話をしましたが、具体的に法律がどのような調整をさだめているかを説明をしていきます。
労働基準法では、労働者の権利として有給休暇が定められています。
有給休暇はお休みをしても、その日の賃金が保障される休日の権利ですね。
半年間、全労働日という働かなければいけないと定められた日数に対して、8割の出勤率が認められた場合に10日の有給が保障されます。
労働者は「お休みがしたいです」と会社の上司に伝えなくても、権利として有給休暇を取得できることが保障されています。
しかし、担当している会議や以前から任されていた業務があるのに関わらず、好き勝手に急なタイミングで休まれてしまっては経営者はたまったもんではありません。
そのため、経営者には労働者に対して「事業の正常な運営を妨げる場合」は「違う日にずらしてもらえないかな?」と交渉してずらして与える権利があります。
労働基準法では「自由に休みたい労働者」と「事業を不都合なく運営したい経営者」の権利を平等になるように定めています。
また、「増税メガネさん」といった愛称で国民から愛されている岸田総理は「次元の異なる少子化対策」を国会で発表するなど男性の育児休業が注目をされていますよね。
育児介護休業法をはじめとして、雇用保険法の育児休業給付、健康保険、厚生年金の保険料免除などなど育児休業には多く関連する労働者の権利が保障されています。
育児介護休業法は労働者が育児休業、介護休業を取得する権利を定めた法律ですが、有給休暇とは異なり、条文には「業務の妨げになる場合」といった経営者の権利に関する決まりはありません。
子供が生まれたらパパもママも育児休業を、会社の運営状況に関わらず取得できることが権利として定められています。
育児介護休業が経営者の立場から権利の保障が明文されていないのには理由があります。
育児介護休業法を国会で制定する際に、日本では「事業運営するための支障」よりも、「労働者が子供の育児や両親の介護が優先」できる社会にしましょうねと国会で定めています。
つまり、労働者の育児や介護よりも会社の経営を優先するような会社は日本には要りませんと法律で明文されています。
では、最後に働くための労働条件が法律でどのように定められているかについて話をします。
就職活動を行い、採用内定をもらうと企業と、「働きます」「雇います」という両者の約束を取り決めた労働契約を結びます。
労働契約は労働に対して賃金を支払うことを労働者が合意することが成立の条件です。
労働契約を締結するには、給与や休日、労働時間、退職金の有無といった働くうえでの条件を定めなければなりません。
労働条件は会社が働くうえでの規定を定めた就業規則、労働組合との約束事を記した労働協約によって決められます。
会社によって独自に定めた就業規則は、最低賃金法や労働基準法で定めた最低限のルールを上回るものでなければならず、下回る場合は基準に達しない部分について無効となります。
つまり、時給1000円が地域で定められた最低賃金なのに、時給30円とするといった就業規則は無効となり、時給1000円が保障され
月60時間を超えた時間外労働には5割の割増賃金が保障されているのに、「うちの会社は残業ではなく愛情でなりたっているので、残業代は発生しないんです」という特殊な言い訳も通用しません。
労働に関する決まりは効力の強さに順序があります。
労働基準法などの法律が一番強く、
二番目に使用者と労働組合が締結した労働協約、
三番目に使用者と個人の締結した労働契約
最後に労働者の決まりを会社が定めた就業規則となります。
さて、いかがでしたか?
新年を迎え新しい環境に移り変わる人もたくさんいますよね。
高校、大学を卒業して「いざ社会人」となる方も大勢いるかと思います。
働くうえで自分にはどんな権利があり、何が義務付けられているのか、会社や国はどのように生活の保障をしてくれているのかなど
一度、調べておくのは大切なことかなと思います。
今回は、
・星田純也著作の慶應義塾大学出版会より「働くならこれだけは知っとけ!労働法
・通信教育のアガルートより社会保険労務士 労働基準法テキスト
を参考にしています。