今回は、「デジタル性暴力」についてお話したいと思います。私は10代の頃に「デジタル性暴力」に遭遇し、その影響で「解離性障害」と診断された経験があります。自分の経験を通じて、加害的な行為がどれほど深い傷や病気を引き起こすかを認識してほしいと思って、今回配信をします。
また、ラジオ配信において被害の詳細について触れているため、フラッシュバック等の症状がある方は注意が必要です。どうぞお気をつけください。
テーマ1:ンターネットの普及とデジタルタトゥー、セクストーションについて
テーマ2:私が生きた時代と背景
テーマ3:解離性障害になるまで、治療の経過
テーマ4:病気になった私
テーマ5:取り締まる法律
テーマ6:伝えたいこと
テーマ1: インターネットの普及とデジタルタトゥー、セクストーションについて
インターネットの普及は私たちの生活に大きな影響を与え、情報の発信、複製、入手が簡単にできるようになりました。しかし、この事実には危険性もあります。自分自身にとって不利益な情報がネット上に出てしまうと、それは「デジタルタトゥー」となり、消すことが難しくなります。この言葉は、2013年に「TEDカンファレンス」でメキシコ出身の研究者、ファン・エンリケス氏が取り上げ、普及したとされています。ネット上に流出した情報がタトゥーのように消えない性質を持つことを表しています。
また、「セクストーション」は、「性的行為」の「セックス」と「脅迫・ゆすり」を指す「エクストゥーション」という言葉の造語です。これは「性的脅迫」として問題になっています。
テーマ2: 私が生きた時代と背景
私が10代だった2000年代、この時期、携帯電話が急速に普及し、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。特に、カメラ付き携帯電話(フューチャーフォン)が一般的で、携帯小説やSNSが流行していました。
携帯小説: 「フォレストノベル」や「魔法のiランド」などのプラットフォームで、携帯電話を使用して執筆・閲覧される小説が盛んでした。ケータイ小説は、文字数が少なく文が短いといった文体上の特徴を持ち、さまざまなジャンルがありました。しかし、売春、レイプ、妊娠、薬物、不治の病、自殺などの過激な内容を含む作品もあり、特に10代の少女をターゲットにしたものが多かったです。
SNS: 「GREE」や「モバゲー」などのSNSが流行していました。これらのプラットフォームでは、友達とのコミュニケーションや日記の投稿が行われ、若者たちの交流の場となっていました。
テーマ3: 「解離性障害」と診断がつくまで、治療の経過
そのような時代の中で、私は生まれた時から「親の愛を得るためには、親の期待に応えなければならない」という考え方の癖を持ちながら、携帯小説の世界に逃げ場を求めました。小学校から志望する大学を決め、勉強に励んでいました。成績は良く、運良く高校は進学校に入学しました。
しかし、勉強で落ちこぼれ、学校に居場所がなくなり、成績が落ちて「親に認められない」と感じるようになりました。家族との関係や学業、進学について悩み、誰にも相談できず、ネットの世界に居場所を求めました。当時のSNSで流行っていたケータイ小説に悩みを書き、「リィ」というハンドルネームをつかって作品を発表していた。作品にコメントがつくようになり、応援してくれる人とメールをするようになり、その人を信頼していました。相手の人間性を観察し、それゆえ人の弱みを暴き出す能力がある。また逆に、他人への深い理解や共感を示すこともある。これらは、多くは過去に受けた虐待から自分の身を守る手段として身につけたと言われている。
相手は30代の成人で、名前や住まいを教えてくれました。ある時、その人に告白されて、「好きだよ。その代わりに裸の画像を送ってくれない?」私は戸惑ったものの、ずっと作品を応援し、悩みを聞いてくれていた相手だったので、「期待に応えねば」と体の画像を送った。ところが、それを機に相手の態度は一変した。直接会いたいと言ってきたり、「この画像をインターネットに流されたくなければ、送れ」などと脅迫され、性的な画像や動画を求めてきたりするようになった。
テーマ4: 病気になった私
愛情とは、何かを与えることでしか得られない」と考えていました。だから、自分を性的に求める相手を否定し、拒否することができませんでした。その関係は高校を卒業し、大学に入るまでの合計4年ほど続きました。21歳の時、とうとう心身のバランスを崩しました。大学の紹介で医療機関に繋がり、「解離性障害」と診断されました。当時の私は、自分の身体から意識が抜け出し、頭の後ろから自分の身体を動かしているように感じていました。ネットで使っていた別人格の「リィ」が現れ、私の体を操っているように思えました。その時に、初めて父に「性暴力」を相談でき、加害者とのメールをやめました。治療機関に繋がり、加害者との関係を辞められたものの、考え方を変えられず、20代の恋愛関係では、自分を大事にできませんでした。ずっと私を傷つける異性とばかり付き合う経験を繰り返しました。治療をしながらも、性暴力はその後の人生に多大な影響を及ぼしました
テーマ5:取り締まる法律
子どもが嫌がることなく自分で撮影したとしても、性的な画像を送らせる行為は犯罪です。 去年施行された「面会要求罪」や「映像送信要求罪」によって、16歳未満の子どもに対して、こうした行為を行うことは法律で禁止されています。
わいせつ目的で、以下のいずれかの手段を使って、会うことを要求することがあります:
威迫、偽計、または誘惑(例:脅す、うそをつく、甘い言葉で誘う)
拒まれたのに反復(例:拒まれたのに、何度も繰り返し要求する)
利益供与またはその申し込みや約束(例:金銭や物を与える、その約束をする)
これにより、わいせつの目的で会うことがあります。具体的には、性交等をする姿や性的な部位を露出した姿などの写真や動画を撮影して送るよう要求することもあります。また、このような行為は「児童ポルノ禁止法」違反に問われる場合もあります。
さらに、テーマ1で伝えたように、インターネットで拡散された情報はなかなか消せないことにも注意が必要です。元の情報を消しても、スクリーンショットなどで保存されている可能性があります。デジタルアーカイブはさまざまな形で存在し、意図的に情報を消そうとしても、ストライサンド効果により拡散が増えることもあります。