知的財産権法の大家である田村善之先生にご出演いただきます!当番組#15( 【すしざんまい事件】外国飲食店の紹介は日本の商標権侵害なのか問題_ゆるカワ...
)で議論したSushi Zanmai事件をさらに深く考察します。この事件では裁判所により商標権侵害であるとして差止・損害賠償(約600万円)が認められました。結論は妥当なものの理由において不十分な点がいくつかあるようです。
海外飲食店のネット掲載と商標権侵害
~多数の裁判例からSushi
Zanmai事件を考察~
[特別ゲスト]
東京大学大学院教授 田村善之
02:31
▼事件の概要
Sushi Zanmai事件(東京地判令和6年3月19日、令和3(ワ)11358)をおさらいします。
11:37
▼属地主義と商業的効果
インターネットでの使用は世界中での使用か
→属地主義によると、商標権の効力が及ぶのは商標登録をした国での使用に限られますが、インターネット上で情報を掲載した場合、世界中に発信されることになります。この場合、世界中での使用に該当するのか又は特定の国に限定されるのかは非常に難しい問題です。この点をWIPO(世界知的所有権機関)の共同勧告及び裁判例から紐解きます。
28:18
▼購買前の混同
飲食時に出所混同なくても侵害か
→ネットへの掲載は日本向け、実店舗は外国(マレーシア)という場合に商標権侵害を問えるかが本件の最大の論点です。ここで田村先生が挙げたのが、”購買前の混同”です。購買時に出所混同していなくても、その前段階で出所混同していれば侵害になるという理論です。購買前の混同により商標権侵害になるのであれば、本件で侵害と判断されたことにも賛同できるでしょう。日米の裁判例によると、購買前の混同を認めた事例及び購買前の混同が残存した結果購買時の混同が認められた事例があります。これらの事例に基づいて本件の妥当性を検討します。
44:23
▼侵害主体と“商標”の定義
グループ会社の役務は被告が提供する役務か
→そもそも被告は飲食店「Sushi Zanmai」を運営しておらず、運営主体はダイショーグループのスーパースシです。被告は飲食店「Sushi Zanmai」に食材を輸出し日本向けのウェブサイトで「Sushi
Zanmai」を紹介するのみです。この場合、被告の侵害を問えるのかが論点になります。被告の表示方法に基づくと需要者は被告を含むダイショーグループが提供すると認識するであろうから、飲食店の役務提供を被告自らの行為と考えてよさそうです。
[参考情報]
▼田村善之「商標権と属地主義」パテント76巻14号
https://jpaa-patent.info/patent/viewP...
▼田村善之=清水紀子『特許法講義』(2024年・弘文堂)
https://www.koubundou.co.jp/book/b100...
▼特許庁「インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告」について
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/wi...
▼(テキスト版)海外飲食店のネット掲載と商標権侵害事件から属地主義を考える
https://bran-design.jp/topics/case/2595/
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◆BGM
「ゆるカワのテーマ」/ Comode(コモド)
◆挿入歌
「Into The Carnival」/
向 香織
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