自己符号化器 (AutoEncoder, AE) は、データの有用な特徴を抽出するためのニューラルネットワークの一種です。一般的なニューラルネットワークが入力データに基づいて何らかの予測を行うのに対して、AEは入力データを再構築することを目指します。ここで考えるAEは3層から成り、エンコーダ、中間層(潜在空間)、デコーダという3つの部分に分けられます。
イメージとしては、エンコーダは芸術家が風景をスケッチに描き起こすような役割を果たし、デコーダはそのスケッチを元に風景を再描画する役割を果たします。中間層では、芸術家のスケッチ(データの抽象的な表現)が得られます。
このAEの発展形として変分自己符号化器
(Variational AutoEncoder, VAE) があります。VAEは、中間層で特定の確率分布(通常は標準正規分布)に従うようにデータを制約します。これにより、VAEは連続的な潜在空間を持つことができ、新たなデータを生成するために使用することができます。VAEの中間層は、元のデータが表す特性を抽出し、それらを正規分布にマッピングします。
さらに、積層自己符号化器 (Stacked AutoEncoder, SAE) は、複数のAEを"積み重ねる"ことで構成される深層学習モデルです。SAEは段階的に訓練され、各層のAEの中間層(出力)が次のAEの入力として使われます。
例えば、10変数の元データがあるとします。10-9-10のAEを学習し、次に9-8-9のAEを学習、というように次元を削減しながら学習を進めていきます。その結果、10-9-8-7-6-5-4のネットワークが得られ、10次元を4次元に圧縮するエンコーダを得ることができます。VAEのアイデアを取り入れ、4次元変数のそれぞれの平均と分散を算出、それぞれ標準正規分布をスケールしてシフトしてデコーダの入力にし、元の入力データのような出力データを生成することが可能です。
これらのAE、VAE、SAEは深層学習の一部であり、各々が特定のニーズに対応するよう設計されています。AEは効率的なデータ表現を学ぶことが可能であり、VAEは生成モデルとして機能します。一方、SAEは深層学習モデルの初期化や、データの次元削減などに使用することができます。
これらのモデルはPythonのライブラリ、例えばTensorFlowやPyTorchを使って実装することが可能です。これらのライブラリはニューラルネットワークの設計と訓練をサポートし、AEやVAE、SAEのような複雑なモデルの構築を容易にします。
まとめると、AE、VAE、SAEはそれぞれ異なる特性を持ちながらも、データの有用な特徴を抽出し、表現するための強力なツールとなります。それぞれの特性を理解し、適切に使用することで、データ分析や機械学習タスクを効率的に進めることができます。
告知リンク:
https://wcci2024.org/
https://www.kogakuin.ac.jp/admissions/event/oc.html