#21
明智が海に沈んだ後、もう恐れるものが無くなった黒トカゲの船はアジトへの航路を進んでいく。
敵が消えて喜んでいるはずの黒トカゲは、一人甲板に残っていつまでも水面を見つめているのだった。
#22
船は東京湾に到着。早苗さんは目隠しをされて黒トカゲのアジトへ連れてこられる。そこで目隠しを解かれ初めて周囲を見た早苗は、思わず感嘆の声をあげた。
目の前には黒トカゲがこれまで収集してきた世界中の美術品が陳列された廊下が、どこまでも続いていたのだ。
原稿:江戸川乱歩『黒蜥蜴』青空文庫