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Description

Elkin J, Rele S, Sumithran P, et al. Association between glucagon‐like peptide‐1 receptor agonist use and peri‐operative pulmonary aspiration: a systematic review and meta‐analysis. Anaesthesia. 2025;56:1234–52.

🧠 背景

GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RAs)は肥満や2型糖尿病の治療に広く使用されており、胃排出を遅延させる作用が知られている。近年、適切な絶食を行ったにもかかわらず、これらの薬剤を使用している患者で術中の誤嚥や胃内容物残留のリスクが指摘されている。

🔬 方法

2005年以降に発表された文献を対象とした系統的レビューおよびメタ解析を実施し、絶食後に全身麻酔や鎮静を伴う処置を受ける患者におけるGLP-1 RAの使用と、誤嚥または胃内容物残留との関連を評価した。

📊 結果

28の観察研究(466,373人)を解析した結果、GLP-1 RAの使用は肺誤嚥リスクの上昇とは関連しなかった(OR 1.04, 95%CI 0.87–1.25)。一方、胃内容物残留リスクは有意に上昇していた(OR 5.96, 95%CI 3.96–8.98)。術前に少なくとも1回の投与を中止した場合、胃内容物残留リスクは低下した(OR 0.51, 95%CI 0.33–0.81)。

🤔 考察

GLP-1 RAの使用により、絶食していても胃内容が残るリスクは高まるが、誤嚥のリスクが実際に増加するという明確な証拠はない。現時点でのエビデンスは主に観察研究に基づいており、確実性は低い。

🚀 まとめ

GLP-1 RA使用者に対しては、術前の胃内容物残留を考慮し、処置内容に応じた投与中止や他の管理戦略の検討が必要である。今後のランダム化比較試験によるエビデンスの蓄積が求められる。