🧠 背景:
妊娠中の体重増加は、母子の健康に直結する重要な因子だが、「どの妊娠期に・どれだけのペースで増やすべきか」については、明確な指針がなかった。特に、妊娠各期とBMI別に最適な体重増加ペースを検討した研究は限られていた。
🔬 方法:
米国8施設で実施された大規模前向きコホート研究(nuMoM2b)の二次解析。対象は初産婦のみ、単胎妊娠の8,121人。妊娠を3期に分け、それぞれの週あたり体重増加量と妊娠合併症(APOs)との関連をBMI別に検討した。
📊 結果:
体格(BMI)と妊娠期ごとに「最適な体重増加ペース」が異なり、それを上回っても下回ってもリスクが上昇する傾向があった。
• BMI<25:初期・中期は0.7kg/週、後期は0.5kg/週が最適
• BMI 25〜29.9:初期0.7、中期0.5、後期0.4kg/週
• BMI≧30:初期0.6、中期0.5、後期0.4kg/週
少なすぎる増加は低出生体重・早産のリスク、 多すぎる増加は妊娠高血圧・帝王切開・妊娠糖尿病のリスク増加と関連。
安全とされる体重増加ペースは、理想値の**±0.1〜0.15kg/週程度**と推定される。
💡 考察:
現行のガイドライン(NAM)は、特に正常〜やせ型や過体重の妊婦に対して体重増加を制限しすぎている可能性がある。妊娠期ごと・体格ごとに柔軟に調整された個別の体重管理が、母子双方にとって望ましいと考えられる。
✅ まとめ:
妊娠中の体重管理は、「どれだけ増えるか」だけでなく、「いつ、どのくらいのペースで増えるか」が重要。 初産婦・単胎妊娠におけるこの大規模研究の結果は、妊婦個々の体格と妊娠経過に合わせた、より実践的な体重管理の指針となる可能性がある。