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Description

Farag E, Shah K, Argalious M, et al. Pulmonary complications associated with sugammadex or neostigmine in patientsrecovering from advanced diagnostic or interventional bronchoscopy: a retrospective two-centre analysis. Br J Anaesth.2025;135(1):197–205.

🧠 背景

気管支鏡検査は肺に基礎疾患を持つ高リスク患者で行われることが多く、術後肺合併症(PPCs)のリスクがある。神経筋遮断の拮抗薬として使用されるスガマデクスとネオスチグミンの安全性比較はこれまで明確でなかった。

🔬 方法

2016〜2022年に米国クリーブランドクリニックの2拠点で行われた8,557件の気管支鏡手術を後ろ向きに解析。スガマデクスまたはネオスチグミンで神経筋遮断を拮抗した症例を対象とし、逆確率重み付けを用いて交絡因子を調整。

📊 結果

合計8,557件の気管支鏡手術(スガマデクス3,830件、ネオスチグミン4,727件)を解析。PPCsの発生率(重み付け後)はスガマデクス群で2.7%、ネオスチグミン群で1.9%だった(オッズ比1.44、95%信頼区間1.02–2.05、p=0.038)。主な差は上気道閉塞で、スガマデクス群2.2%、ネオスチグミン群1.4%(OR 1.57、p=0.020)。肺炎や誤嚥性肺炎はまれで、両群とも発生率は0.1%未満。低酸素血症の発生率は両群でほぼ同等(スガマデクス9.4%、ネオスチグミン9.0%、OR 0.98、p=0.878)。

💡 考察

スガマデクスは本来、深い筋弛緩からの迅速な回復が期待されるが、今回の結果は想定外だった。軽微な合併症が主であり、臨床的意義は限定的。交絡の可能性が残っており、ランダム化試験による検証が必要とされる。

✅ まとめ気管支鏡手術後の肺合併症は、スガマデクス使用時にわずかに増加したが、臨床的には大きな差ではなかった。今後は、重大な合併症に焦点を当てた前向き研究が求められる。