Gonzalez-Fiol A, Fardelmann KL, Landau R. Shedding more light on the management of intraoperative pain during cesarean delivery: a review of the American Society of Anesthesiologists statements. Int J Obst Anesth.2025; 62:104360.
🧠 背景
帝王切開は世界で最も多い外科手術の一つであり、脊髄幹麻酔が標準である。しかし、術中の疼痛や不快感は依然として無視できず、患者満足度や医療者の信頼性に影響する。米国麻酔科学会(ASA)が声明を発表し、その要点をレビューしたのが本研究である。
🔬 方法
ASAが2020年代に提示した帝王切開中の疼痛管理に関する声明を整理・要約し、最新エビデンスや臨床現場での適用可能性を検討したレビュー論文。特に脊髄幹麻酔下での疼痛リスク、予防、対応策が焦点である。
📊 結果
術中の疼痛経験は報告により差があるが、5〜20%の頻度で生じるとされる。リスク因子として、肥満、癒着のある再帝王切開、麻酔薬の拡がり不足などが挙げられる。ASAは以下を推奨:
・麻酔導入時の十分な薬剤量の確認
・痛みが出た際の静脈麻酔薬の追加(ケタミンやプロポフォールなど)
・必要に応じた全身麻酔への移行
・患者に事前に痛みリスクを説明し、信頼関係を築くこと
💡 考察
術中疼痛は身体的苦痛だけでなく、心理的外傷や医療不信につながる。ASAは「完全にゼロにするのは難しいが、予防・早期対応で最小限にできる」と強調している。麻酔科医はチームで協力し、母体の安全と快適性を両立させる必要がある。
✅ まとめ
帝王切開中の術中疼痛は5〜20%で発生し、リスク因子も明らかになっている。ASAの声明は、予防と早期対応、そして患者との事前のコミュニケーションの重要性を強調しており、今後の臨床実践の基盤となる。