🧠背景
手術後の急性腎障害(AKI)は予後を悪化させる重大な合併症であり、術中の低血圧がその一因とされている。低血圧を事前に予測し、未然に防ぐ手段として、Hypotension Prediction Index(HPI)の活用が注目されているが、予後改善への直接的な効果はこれまで明確でなかった。
🔬 方法
スペイン国内の28施設で、腹部手術を受けるAKIリスクの高い患者977名を対象に、多施設ランダム化比較試験を実施。HPIを用いて循環動態を管理する介入群と、通常通りの管理を行う対照群に無作為に割り付け、術後3日以内の中等度から重度のAKI発生率を主要評価項目とした。
📊 結果
AKIの発生率はHPI群で15.7%、対照群で17.9%と差はあったが、有意ではなかった(p=0.39)。術中の低血圧持続時間には差があり、平均動脈圧<65mmHgの時間中央値は、HPI群で16分、対照群で28分と短縮されていた。その他の主要アウトカム(死亡率、ICU入室率など)にも有意差はなかった。
🤔 考察
HPIは術中の低血圧を短縮する可能性は示されたが、AKIの発生抑制にはつながらなかった。低血圧を予測するだけでなく、それに対する適切な対応戦略が整っていない可能性がある。
✅ まとめ
HPIによる循環管理は低血圧の予測と短縮に一定の効果を示したが、AKIなどの術後合併症の抑制にはつながらなかった。HPIの活用には、予測に加えて有効な介入手順の確立が必要である。
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