🧠 背景
重症外傷患者の出血による死亡は予防可能な死因の1つであり、早期の止血管理が重要とされる。ROTEMは、リアルタイムで凝固異常を把握し、輸血判断を支援する検査として注目されてきた。本研究は、下肢の外傷性骨折患者において、ROTEMの臨床的有用性を検討したものである。
🔬 方法
アメリカのレベル1外傷センターにおける2014年~2018年のデータを用いたレトロスペクティブ・コホート研究。ROTEM検査を受けた18歳以上の骨盤・大腿骨・脛骨骨折患者を対象に、①骨折部位と凝固プロファイル、②入院・ICU滞在期間との関連、③治療方針(外固定 vs. 早期内固定)との関連を評価した。
📊 結果
• ROTEM APTEMおよびEXTEMでは、患者の約7割が正常な凝固状態を示した。
• INTEMでは約7割が低凝固性であった。
• ROTEM APTEMが低凝固性の患者は、入院期間(平均+2.8日)、ICU滞在(平均+5.1日)が有意に延長した。
• ROTEM INTEMの凝固性も入院期間延長と関連(平均+1日)。
• ROTEMプロファイルと手術法(外固定 vs. 内固定)には明確な相関が見られなかった。
• 異常ROTEMを示した患者全員が輸血を受けたわけではなく、適応は限定的であった。
🤔 考察
ROTEMは重度多発外傷の一部症例においては有用性があるものの、単独の下肢骨折患者に対してルーチンで行う意義は薄い。APTEMプロファイルと入院・ICU滞在の関連性は一定の示唆を持つが、治療方針決定への直接的貢献は限定的であると考えられる。
✅ まとめ
ROTEMは下肢外傷骨折患者全般に適用すべき検査ではなく、重症出血や多発外傷など、選択的な使用が求められる。今後は、ROTEMの適応をより明確に定義する研究が必要である。
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