Rao U, Phillips T, Rao S. Local nitroglycerin to facilitate radial arterial catheterization in adults: a systematic review and meta-analysis. Can J Anesth. 2025;56:1234–52.
🧠 背景
橈骨動脈カテーテル挿入は、周術期モニタリングや冠動脈インターベンションにおいて重要な手技である。しかし、血管痙攣や細径による穿刺困難例が多く、成功率向上と合併症予防が課題となっている。
🧪 方法
2024年2月までに報告された15件のRCTを対象に、局所ニトログリセリン(皮下注射または皮膚塗布)の効果を検証するシステマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。総対象者数は2,370人。
📊 結果
・皮下注射によるニトログリセリンは、初回穿刺成功率を1.61倍、痙攣リスクを0.43倍に改善した。
・皮膚塗布では、初回成功率が2.45倍に向上したが、痙攣予防には有意差なし。
・穿刺までの時間短縮、穿刺回数の減少、血管径の拡大も認められた。
・副作用として懸念される低血圧や頭痛の増加は有意ではなかった
。・全体としてエビデンスの確実性は「低」であった。
🤔 考察
皮下注射によるニトログリセリンは、皮膚塗布よりも吸収率が高く、臨床効果が大きい可能性がある。ただし、収載研究の多くにバイアスのリスクが存在し、さらなる高品質なRCTの実施が求められる。
✅ まとめ
局所ニトログリセリンは、橈骨動脈カテーテル挿入の成功率向上および合併症予防に一定の有用性を示した。今後の実用化には、エビデンスの強化とコスト・供給体制の整備が必要である。