日本交渉協会常務理事でありナカノ株式会社代表取締役の窪田恭史氏をゲストに迎え、「孫子の兵法で読む交渉学」シリーズ。今回は「軍争篇(ぐんそうへん)その2」です。軍争篇は「戦場そのものを組み替える」ための篇とも言われます。前回は「迂直の計」を中心に、どう状況を逆転させるかを見てきましたが、今回はそこから一歩踏み込み、「敵のBATNA(バトナ)が強い状況で、どうやって主導権を奪い返すか」という視点で深掘りしていきます。
◎窪田恭史氏のご経歴
日本交渉協会 常務理事/燮(やわらぎ)会 幹事
ナカノ株式会社 代表取締役
日本古着リサイクル輸出組合 理事長
表情分析、FACS認定コーダー
日本筆跡心理学協会 筆跡アドバイザーマスター
早稲田大学政治経済学部卒。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)でのコンサル業務を経てナカノ株式会社に入社、2024年より現職。「交渉分析」理論の日本への導入にも尽力。
【TODAY’S TOPICS】
◎アメリカと中国の知的財産権交渉事例
・中国市場におけるアメリカの知的財産権侵害が深刻化。
・1993年から95年、米中知財交渉が開始も、交渉を担った通商代表部バーシェフスキーは「四面楚歌」状態からスタート。
・中国側のつよいBATNA:中国自身、また日本やヨーロッパ、アジアの新興国と言った競合の存在・バーシェフスキーは利害関係者を国内
・国外・中国と複数のフロントに分け、それぞれに響く別々のメッセージで支持を形成(アコースティックセパレーション)。
対国民→知的財産権はアメリカの競争力の源泉
対同盟国→中国に知的財産を守らせることこそ、自国への悪影響を避ける唯一の道
・周囲の支持や中立関係を作ったうえ、WTO加盟も材料として交渉を優位に進める。
・中国に完全降伏を迫らず、地方政府に問題を転嫁する形でメンツを保てる出口を残した。
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お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてさらに詳しく知りたい方は、「交渉アナリスト」の公式サイトもぜひご覧ください。