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日本交渉協会常務理事でありナカノ株式会社代表取締役の窪田恭史氏をゲストに迎え、「孫子の兵法で読む交渉学」シリーズは第13回へ。

テーマは引き続き孫子第七篇「軍争篇(ぐんそうへん)」です。前回の最後に『軍争篇』の教えである「敵を包囲するときは必ず逃げ道を残せ」をお伝えしましたが、では逃げ道を残さなかったらどうなるのか。その問いについて今回は考察していきます。

◎窪田恭史氏のご経歴

日本交渉協会 常務理事/燮(やわらぎ)会 幹事

ナカノ株式会社 代表取締役

日本古着リサイクル輸出組合 理事長

表情分析、FACS認定コーダー

日本筆跡心理学協会 筆跡アドバイザーマスター

早稲田大学政治経済学部卒

アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)でのコンサル業務を経てナカノ株式会社に入社、2024年より現職。「交渉分析」理論の日本への導入にも尽力。

【TODAY’S TOPICS】

◎瀬戸際戦術(Brinkmanship)

・相手に合意するかどうか決裂するかの二者択一を迫る戦術。

・成功させるコツは、相手にその条件しかないと思わせること(代表例:キューバ危機)。

・報復行為や外部の信用を失うリスクを伴うため、綿密な計画とリスク評価が必要。

◎公平性を求める人間の傾向

・「最後通牒ゲーム」や「独裁者ゲーム」において、多くの参加者が総取りではなく折版を選択。

 →人間は利益の最大化だけでなく、公平さを強く意識。

※人間は他者と比較することで自分の立ち位置を把握する。(「社会的比較理論」レオン・フェスティンガー)

・本能的に、人間は生存に不可欠な協力関係を重視しており、進化的に不公平を嫌う傾向を持つため、理論上合理的な選択と実際の行動に乖離が生じる。

 例:交渉において妥協案が出やすいこと。