今回も引き続き、日本交渉協会が開催した「第1回 交渉アワード」の受賞事例をご紹介していきます。コメンテーターには、日本交渉協会理事の加藤氏をお迎えし、見事「銀賞」を受賞した感動の交渉ストーリーを紐解いていきます 。
シリーズ第2回となる今回は、北海道札幌市にお住まいの太田夢(おおた ゆめ)さんの事例です 。自閉スペクトラム症(ASD)の特性により不登校となったお子さまの「学びたい」という切実な願いを叶えるため、前例のない「オンライン授業」の導入を学校側へ働きかけた太田さん 。感情的な訴えに留まらず、元司書のスキルを活かした徹底的な調査と誠実な対話で制度の壁を動かした、勇気あるエピソードをご紹介します。
◎太田夢氏(第1回交渉アワード 銀賞受賞)
・北海道札幌市在住、元図書館司書で現在はライターとして活動 。
・不登校となった小学1年生の息子のために、学校への「特例オンライン授業」導入交渉に挑む 。
・「交渉とは誰かの可能性を諦めないための行動」と定義し、一家庭の問題を社会的な選択肢の拡大へと繋げた功績により銀賞を受賞した 。
◎ 「前例がない」という行政の壁との対峙
・お子さまが漏らした「本当は勉強したい」という言葉が交渉の原動力に 。
・当初学校側からは「人手不足」「前例がない」というゼロ回答 。
・親としての熱意を、いかにして「組織を動かすロジック」へと変換したのか 。
◎ 元司書のスキルを武器にした「勝てる資料」の作成
・文科省の指針、他自治体の成功事例、教育ICTの成果を徹底的にリサーチ 。
・要望を伝えるだけでなく、学校側がそのまま実行できるレベルのリスク管理案を作成 。
・「どうすれば先生方が動きやすくなるか」を考え抜く、相手の立場に立った準備 。
◎ 誠実さと覚悟が引き出す「共感の交渉」
・スクールカウンセラーを味方に付け、校長先生との直接対話へ 。
・「ご迷惑をかけるかもしれませんが、この子の学ぶ権利を守ってください」という誠実な訴え 。
・相手を責めるのではなく、共通の目的(子どもの学び)に向かうパートナーとしての関係構築 。
◎ 1人のための風穴が、社会の光に
・特例のオンライン授業が認められ、お子さまはZoom越しに教室と繋がり笑顔を取り戻す 。
・この事例がきっかけとなり、学校全体で不登校や長期療養中の子への選択肢として制度化 。
個人の交渉が制度そのものを変え、関係性を変えた「統合型交渉」の理想形 。
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お聞きいただきありがとうございました。 交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、「交渉アナリスト」のサイトをご覧ください。
次回の配信でも、素晴らしい交渉アワード受賞作品をご紹介します。お楽しみに!
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