今回も引き続き、日本交渉協会が開催した「第1回交渉アワード」の受賞事例をご紹介していきます。見事「銀賞」を受賞した、若きリーダーによる情熱と配慮の交渉ストーリーを紐解いていきます。コメンテーターは、日本交渉協会代表理事の安藤です。
第3回となる今回は、大杉心乃さんの大学文化祭における交渉事例です。サークルの伝統を守りたい先輩と、新しい挑戦でサークルを活性化させたい自分。一見平行線に見える対立を、相手の不安に寄り添う「第3の案」で解消し、過去最高の来場者記録へと導いた、実地で活かせる交渉エピソードをご紹介します。
◎大杉心乃氏(第1回交渉アワード銀賞受賞)
三重県在住、大学3年生で映像制作サークルの文化祭企画責任者を務める。
伝統の上映会を重視する4年生の先輩に対し、新企画「撮影体験イベント」の導入交渉に挑む。
「交渉とは相手の立場や気持ちを理解し、信頼を保ちながら納得のいく解決を探る対話のプロセス」と定義し、サークル内に「協力の文化」を根付かせ銀賞を受賞。
【TODAY’STOPICS】
◎「伝統と変革」がぶつかるサークル内の壁
「新しい挑戦で後輩の意欲を高めたい」大杉さんと、「クオリティと納期を守りたい」先輩Kさんとの対立。
感情的に主張をぶつけるのではなく、まずは1対1での冷静な対話を選択。
相手の反対の裏にある「責任感」と「編集作業への不安」を丁寧に解き明かす。
◎相手の懸念を1つずつ解消する「具体的な第3の案」
業務分担の完全明確化:編集メンバーと運営メンバーを分け、負担を並行化。
企画のミニマム化:内容を15分枠に絞り、運営の負担を最小限に抑える提案。
集客の相乗効果:イベント内で映画の予告編を流し、メインの上映会へ誘導するWin-Winの仕組み。
◎感情ではなく「目的」を中心に置く対話術
「文化祭を成功させたい」という、両者が共通して持つ根っこの願いに立ち返る。
相手を「敵」ではなく「別の視点を持つ協力者」と捉え直す発想の転換。
丁寧な合意形成が、単なる妥協ではない「納得感のある決断」を生む。
◎過去最多の来場記録と、深まったチームの絆
交渉の結果、上映会と体験イベントの両立が実現し、過去最多の来場者を記録。
後輩たちからは「自分たちの意見が形になった」と歓喜の声が上がり、先輩からも感謝の言葉が贈られる。
個人の対話が組織の空気を変え、次年度へと続く新しい伝統を創り出した「統合型交渉」の成功例。
お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、「交渉アナリスト」のサイトをご覧ください。
次回の配信でも、素晴らしい交渉アワード受賞作品をご紹介します。お楽しみに!