前回に引き続き、鈴木有香氏が翻訳を担当した『コンフリクト・マネジメントの教科書』(東洋経済新報社)という書籍をもとに、コンフリクト・マネジメントにおける権力(パワー)と感情についてお話いただきました。
◎鈴木有香氏のご経歴
米国のコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジにて修士号(国際教育開発)取得。
上智大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程修了。
ヴァンダービルト大学、カリフォルニア大学、カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校講師を経て、現在、関西大学大学院、明治大学、桜美林大学等の教壇に立つ。早稲田大学紛争交渉研究所招聘研究員。
また、異文化教育コンサルタントとして、企業や様々な組織の研修(コンフリクト・マネジメント、ADR、異文化コミュニケーション、リーダーシップ、ダイバーシィティ)のプログラム開発、教材作成、トレーニングに携わる。
2005年より、株式会社トランスエージェントの講師をつとめる。
専攻:コンフリクト・マネジメント、異文化コミュニケーション、異文化間教育
主な論文、翻訳、著書:
「『阿吽の呼吸』が終焉する時代:平成不況後に企業の求める異文化間コミュニケーション能力」(2009)(『異文化間教育』異文化間教育学会(共著))
「科目『協調的交渉論』の教育的意義:「ディープ・アクティブラーニング」の視点から」(2017)(関西大学総合情報学部紀要『情報研究』46号(久保田真弓と共著))
『コンフリクト・マネジメントの教科書』(“Making Conflict Works” Peter T. Coleman & Robert Ferguson著の翻訳) (2020)東洋経済新報社」
【TODAY’S TOPICS】
◎コンフリクト分析の際、留意すべき要素
・一次パワー:善悪や重要度など、場の性質を決定づける力
例)法律・道徳・職場慣行・常識など
・二次パワー:他者に影響を与えようとする戦略・戦術
例)脅し・説得・なだめる・褒めるなど
※交渉の場の分析時には、言動だけでなく、場を形成する一次パワーも含めて考えていくことが大切
◎コンフリクト・マネジメントにおける感情のポイント
・否定感情は必ずしも悪いものではない
・否定的な経験とそれに伴う否定感情の影響は大きい
・感情は記憶と連動して貯蔵される
※職場と家庭での実験:1回の否定感情をカバーするには4~5倍の肯定感情が必要
◎人間は相手とのコンフリクト状況を3つの点から瞬時に無意識レベルで判断している
・相手との人間関係
・相手との目的共有度
・相手とのパワーや権力の違い
◎無意識による状況判断を意識化するための3つの問い
・自分にとっての相手の重要度を考える
・相手と自分の目的の一致度を考える
・相手と自分の力関係を考える
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お聞きいただきありがとうございました。
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