引き続き、「交渉学教科書 今を生きる術」(R.J.レビスキー, D.M.サンダーズ, J.W.ミントン 著/藤田忠 監訳 各務洋子, 熊田聖, 篠原美登里 訳)をもとに、交渉についてじっくりと皆さんと学んでいきます。今回のテーマは「強気の戦術」です。
【TODAY'S TOPICS】
◎「強気の戦術」とは
・「相手を打ち負かすために有効」として手法が紹介されていることもある。
・「強気の戦術」を実行すると、評判を落とし、相手との関係性を壊すリスクが高い。
・「強気の戦術」を学ぶ目的は、どう対応すればよいのかを理解するため。
◎代表的な「強気の戦術」の内容とリスク
・善玉悪玉
ー警察の尋問技術にちなんで名づけられた。優しい交渉者と強硬な交渉者が役割を演じ、相手に揺さぶりをかける。
ーただし、相手の信頼を損ないやすい。
・高めの玉/低めの玉
ー極端に要求が高い/低い初期提案で交渉の主導権を握ろうとする。
ーただし、相手が時間の無駄だと判断し、交渉自体を拒絶されることがある。
・もったいぶる(ショッピングリスト戦術)
ー自分にとって重要でない項目をあたかも重要であるかのように装い、交換条件に使う。
ーお互いが交渉の重要なポイントを外してしまい、交渉がこじれる場合がある。
・かじり
ー交渉がまとまりかけた最後に、小さな要求を追加する。
ー相手を怒らせたり、信頼を失う原因になる。
・臆病者
ー譲ったら負けという姿勢で相手にプレッシャーをかける。
ー本気かたてまえかの判断が難しく、交渉が大きな賭けになりやすい。
・脅迫
ー怒りや恐怖で相手をコントロールし、無理矢理合意させようとする。
ー感情的な反発や不信感を招き、長期的に悪影響を与える。
・攻撃的な態度
ー過剰な詰めや説明要求を通じて、相手に譲歩させようとする。
ー結果的に敵対関係を生む可能性がある。
◎強気の戦術への対処法
・無視する。
・交渉の手順について交渉する。
・戦術には戦術を。強気の戦術できたら、こちらも強気の戦術で対抗する。
・相手を吸収する。事前に友好関係を築いておくことで、相手が強気の戦術を使いにくくなる。
◎分配型交渉のまとめ
・分配型交渉は対立の図式である。
・交渉は暴力や争いに頼らずに、対立の解決を目指す営みである。
・重要なのは、両者が「交渉の結果得られたものは最善の結果」であり、「その合意を守っていくことに価値がある」と感じていること。
・交渉において重要なことは、技術だけでなく、相手への理解とすぐれた計画である。
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お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、「交渉アナリスト」のサイトをご覧ください。