引き続き『交渉学教科書 今を生きる術』(R.J.レビスキー, D.M.サンダーズ, J.W.ミントン 著/藤田忠 監訳 各務洋子, 熊田聖, 篠原美登里 訳)をテキストに、今回は「交渉準備の本質」をテーマに掘り下げます。交渉を成功に導くためには、計画段階でどこに注力し、どのような落とし穴を避けるべきかを学びます。
【TODAY’S TOPICS】
◎計画を軽視することによる失敗の傾向
・明確な目的設定の欠如
・自分と相手の強み・弱みを理解していない
・「早く決めるだけ」では通用しない競合状況に対応できない
◎有効な計画を立てるための段取り
・対立状況と争点の分析
・争点の優先順位設定
・目標設定と限界点の把握(BATNA準備)
・論拠と情報の収集・整理
・交渉相手の分析
◎交渉準備の本質:7つの必須要素
・交渉状況に応じた基本戦略の選択
・関連する過去・類似交渉の理解
・達成したい目標と目的の明確化
・交渉の鍵となる争点と利害の特定・決定
・戦略的に目標・限界を設定する計画立案
・交渉相手の人柄・経歴・姿勢を理解し戦略に活かす
・説得力ある主張のために論拠と情報の要となるものを検討する
◎交渉準備に関する安藤氏の事例
・攻めの準備
→大手顧客の担当者と「顧客の問題解決を共にする仲間」として信頼関係を築き、社内情報や体制変化を入手。
→顧客と志を共有し、相手視点で提案を組み立てたことで交渉の優位性を確保。
・守りの準備
→BATNAのない創業当初は、「赤字にならない最低ライン(留保点)」を設定し、その範囲内で譲歩して取引を継続。
→大口顧客との間でトラブルが発生した際には、最悪の状況を想定。「取引がすべてなくなっても会社は存続できること」を確認の上、肚をくくり顧客に問題解決のための協力要請をおこなう。
取引停止を恐れて顧客の顔色をうかがい、いいなりになるのではなく、逆に強気に出て、前向きな協力を呼びかけ、結果として問題解決&取引継続が実現。
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お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、『交渉アナリスト』のサイトをご覧ください。