大原美術館を中心に、多くのショップやギャラリーが集う倉敷美観地区。なかでも美術館との一体感が際立つ建物が喫茶エル・グレコだ。ツタの絡まるレンガ造りの建物に、入口の小さな赤い日よけのテント、知らな人はいない超有名スポットである。長沼さんは、有限会社エルグレコの代表にして、喫茶エル・グレコの2代目店主、母である浦江さんから経営を引き継いで35年になる。もともと大正14年に建てられた奨農土地株式会社の建物を改装、昭和34年に開業したのが喫茶エル・グレコで、大原総一郎氏が美術館を訪れた人の休憩場所としてプロデュースした。受胎告知の複製画の位置や、お客が座る椅子や机など創業当時のまま、メンテナンスを重ねて65年がたつ。喫茶エル・グレコとそこに由来する人々、小さな倉敷物語をお届けします。