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「人前に出るのが怖かった—」

64歳のヒロさんは、そう語り始めました。今や経験豊富なビジネスマンとして、次世代を導く立場となった彼の口から、意外な言葉が零れます。

かつて彼は、人前で話すことすら怖かった内気な少年でした。
3人兄弟の次男として、両親からの期待も低く、自分自身が好きになれない。「こんな人生でいいのだろうか」と悩む日々を送っていました。

しかし、その「期待されない自由」が、後の人生を大きく変えることになるのです。

少中学校での反動により、心の中で何ていうかモヤモヤしてたものが高校になって開花。高校2年生のとき、アメリカの雑誌やドラマが彼の人生を変えました。

そこに映っていたのは、自由な空気が流れるアメリカ西海岸の景色。ハワイアンカルチャーと、まるで異世界のような自由な暮らし。

「あの世界で生きたい」

親や周りの反対を押し切り、アメリカ行きを決意。
高校卒業後、2年間必死で働き、100万円を貯めて渡米を実現させました。

アメリカでの日々は、まさに夢のよう。

当時、第一次寿司ブームがあって、経験のない人間でも、寿司をちょっと勉強させてもらって、シェフをすることで日々の生活費を稼ぐ。
シェフをやっている時以外は、本当にもう毎日がもう観光みたいな感じで、サンタモニカで生活して、最後はサンディエゴの海沿いに住む。
毎日、朝の波を見てサーフィンをして、その後は、寿司バーで働く。
まさに青春そのもの。

勉強とか進学校への合格などの成功体験は全くないです。それと引き換えに自分の人生をアメリカという国で選んだことで、すごく楽しく、人間力がついた時代。

しかし、すべての夢には覚醒の時が訪れます。

帰国後、彼を待っていたのは厳しい現実。
学歴がないことで、やりたい仕事に就けない日々が続きました。
フリーターとして、その日暮らし。

自分の夢を早く10代でかなえてしまい、切れた凧のようになってしまった。
貯金もなくなっていくし、テレビで「笑っていいとも」を見てても笑えなくなっていった。精神的にはつらい時代。やっぱり自分のやりたいことって、やっぱり学歴がないとできないとか、経験がないとできない現実もある。
最後は3年間新聞配達をしながら、奨学金をもらい、専門学校に通う日々。
貿易実務の実力をつけることで、やっと26歳でついに貿易の仕事への道を開きました。

26歳で会社に入社するも「最初の2年間は地獄でした」

「なんで、こんなもん出来へんのや」

新入社員として、パワハラまがいの上司の下で必死に学び、耐え抜きました。夜も眠れない。しかし、その経験が彼を更に強くしたのです。

その後、彼は48カ国を飛び回るグローバルビジネスマンへと成長。
海外出張先の空港で車の迎えが来ない。
ホテルが予約されておらず、ラブホテルで宿泊。
コロンビアで危険な目に遭遇。
時にはイスラム圏での文化の違いに戸惑いながらも、そのすべてを「人生の楽しみ」に変えていきました。

そして今、定年を目前に控えた彼が目指すのは、企業研修講師としての新たなキャリア。

「年齢に関係なく、人生はいつでも面白い。私の経験が、誰かの人生の道しるべになれば」

彼の目は、今も17歳の頃と同じように、新しい冒険への期待に輝いています。

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