2016年2月16日。Apple本社の会議室に置かれたのは、裁判所命令書。FBIの要求はこうです。
「iPhoneのロックを解除できる“特別なiOS”を作れ」——つまり、バックドアを作れ。
後編で描くのは、ティム・クックが“ジョブズのコピー”にならずに、ティムはティムとして勝ち方を作っていくプロセスです。失敗する。批判される。泥を引き受ける。国家権力と衝突する。そのたびに問われるのは、「価値観は、戦略になれるのか?」という一点です。
【目次】
00:00 オープニング00:40 前回までのあらすじ01:55 ジョブズの急逝に世界がざわめく03:07 ジョブズのコピーになりたくない06:38 試練1:Apple Mapsの災難09:45 試練2:サプライヤー問題14:05 ティム・クック流Appleへ17:17 試練3:プライバシーを巡る政府との闘い23:44 プライバシーを巡る事件の顛末26:09 今回の学びと総括27:09 ティム・クックの退任と今後28:24 エンディング
エピソード概要
この回の主題は、「価値観は戦略になれるのか?」です。価値観は掲げるだけなら簡単です。しかし経営の現場では、価値観が“コスト”になります。失敗し、批判され、優先順位を問われる。そのときに、価値観が意思決定を導けるかが試される。
クライマックスはFBIのバックドア要求です。「捜査協力」ではなく、「例外を作るかどうか」。一度作れば要求がエスカレートし、セキュリティの土台が崩れる。クックは“テロリストをかばう企業”という非難を受けるリスクを理解しながら、それでも拒否する。ここで彼は、舞台裏のオペレーション担当から、社会に向けて立場を説明するリーダーへと役割が変わっていきます。
勝ったように見えて、問題は残る。法廷で白黒をつけられず、いつ再燃してもおかしくない。それでもこの事件は、「価値観が戦略になり得る」ことを、最も象徴的に示した瞬間として描かれます。