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Description

軽井沢の深い緑に包まれた、ある施設があります。
日本女子大学三泉寮。
1906年、明治39年に建てられた、軽井沢初の大学の寮です。
今風に言うならば、セミナーハウス。大学一年次の学生は夏の間、ここで教養特別講義を受けます。
爽やかな風に抱かれ、いにしえの先輩たちと同じように、ノートをとる女子学生たち。
大正5年8月18日午後5時。
特別講師の講演が始まりました。
壇上に立つのは、タゴール。
インドの詩人にして思想家、教育者、そしてアジア人として初めてのノーベル賞の受賞者、ノーベル文学賞に輝いた世界的に有名な賢人です。
『軽井沢高原文庫通信』2003年7月5日発売号に、そのときの講演の内容が掲載されています。
タゴールは、瞑想、メディテーションの大切さを説いています。
「何かを得ようとしてはいけない。大事なのは、宇宙と一体化すること。そうして初めて自由になれる。真の自由は本当の喜びであり、私欲がなくなれば、畏れるものも消え失せる。そこには利己的な活動も差別もない。みんながその境地に立てば、この世から争いは消え、平和が訪れる」。
そう、語りました。
タゴールは、偉大な思想家の家系に育ち、裕福な暮らしの中、自分の思うがまま、生きてきました。
ところが、順風満帆に見えた40歳のとき、突然の災厄が彼を襲います。
その試練に彼はどう立ち向かい、何を思い、何を実行したのでしょうか?
今も世界中のひとから敬愛されている詩人が、40歳でつかんだ明日へのyes!とは?