19世紀初頭、世界に女性医師がひとりもいなかった頃、多くの苦難を乗り越え、初めての医師になった女性がいます。
エリザベス・ブラックウェル。
彼女が医師を目指したのは、24歳の時でした。
末期がんにおかされた、知り合いの女性の介護をしていると、車いすの女性は、つぶやくように言ったのです。
「エリザベス、どうして女性のお医者さんがいないのかしらねえ。
私、男の先生に診てもらうのが恥ずかしくて…」
そのとき、エリザベスは、父親が亡くなる前に言ったひとことを思い出しました。
「いいかい、何かを始めることを恐れてはいけない。
どんな仕事だって、最初に始めたひとがいたんだ。
だったらエリザベス、お前がその『初めて』になったっていいんだよ」
父親のサミュエルは、奴隷解放運動に熱心に参加したり、女性の参政権獲得のために活動したり、当時のイギリスでは、かなり進んだ考えの持ち主でした。
だから、女性は結婚して家に入るという選択しかなかった時代に、エリザベスに十分な教育を受けさせたのです。
ただ、医師になると決意した彼女の前には、多くの障壁が立ちはだかります。
そもそも、医学校への入学が困難。
優秀な成績にも関わらず、入学試験すら受けさせてもらえない学校もあり、11校、落ち続けました。
それでも諦めなかったエリザベスは、12校目のジェネバ医学校に合格。
しかし、学内での女性蔑視は驚くほどひどかったと言います。
さらに医師になってからも、患者から感染した化膿性眼炎のため、右目を失明。
度重なる厳しい現実にも、彼女は歩みを止めませんでした。
次世代に女性の医師を増やしたいと、フローレンス・ナイチンゲールと共に、ロンドン女子医学カレッジを設立。
亡くなる直前まで、後進の指導にあたりました。
なぜ彼女は、挫けることなく、先駆者として前進することができたのでしょうか?
エリザベス・ブラックウェルが人生でつかんだ、明日へのyes!とは?