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Description

アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラークと並び、世界SF界のビッグ・スリーに名を連ねる小説家がいます。
ロバート・A・ハインライン。
代表作、『夏への扉』は、今も世界中のひとに読み継がれています。
山下達郎は、この小説にインスパイアを受けて曲を書きました。
今年6月には、山﨑賢人主演で初の実写化。
映画『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』として、公開されました。
65年前に発表されたSF小説『夏への扉』。
舞台は、小説発表当時には近未来だった、1970年のロサンゼルスです。
人工冷凍睡眠が実用化され、未来への片道旅行が流行っていた世界。
主人公ダンが飼っている猫のピートは、冬になると家中の扉を開けてくれとせがみます。
ピートは、扉のどれかが必ず、明るく楽しい夏へ通じていると信じて疑わないからです。
「夏への扉」を探しつづけ、決して諦めない猫と、友人に裏切られ、全てを失ったダンの物語…。
「未来からのタイムトラベルによる過去の変更」というSF小説の重要な命題に、一石を投じた作品でもあります。
リッキーという名の少女に、ダンは言います。
「リッキー・ティッキー・テイビー、キミがもし僕やピートにまた会いたいと思ったら、21歳にコールドスリープで眠りについて。目覚めたら、必ず、僕とピートがそこにいるから」。
閉塞した世の中に、希望を謳ったエンターテインメントは、多くの読者に感動を与え続けました。
ハインラインが、小説の中で創造したものの中に、後に実用化された製品が数多くあります。
『夏への扉』では、自動掃除ロボットや製図ソフトウェア、さらに、携帯電話や動く歩道、オンライン新聞、ウォーターベッド。
彼の想像力は、常に、現実を冷静に見つめる視点と共にあったのです。
ハインラインの人生は、順風満帆とは程遠く、軍隊生活や病気、度重なる転職、貧困など、幾多の試練の中にありました。
まさしく彼自身が「夏への扉」を探し続ける若き日々をおくったのです。
ただ彼には、誰にも負けない才覚がありました。
それは、自分を信じ続けるチカラ。
それが「扉」にたどり着く唯一の方法だったのです。
SF小説のレジェンド、ロバート・A・ハインラインが人生でつかんだ、明日へのyes!とは?