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今日は!私の歴史的な作品のリリースについて少しだけお話ししたいと思います。
 まず私の頭にあったのはいつか、理想とするサウンドだけを集結させたコレクションにおいて、本当の意味でのオリジナル曲(器楽)を完成させることでした。電気ベース、電気ギター、電子ドラム、電子
シンセサイザー、電子鍵盤...またそれらを正しく美しく鳴らすための機材やそれにまつわる準備には膨大なリソースを要し、DTMを初めて11年が経過していました。楽器を初めて触ってからは23年、カセットテープに自分の鼻歌を入れるようになった時期から数えると実に26年...!という歳月を要しました。
 しかし、これは決して長すぎたわけでもなく、これ以上の最短ルートは存在し得なかったのです。想像をカタチにするには、数えきれないほどの楽器の練習と、音楽の知識、膨大な音楽文化に対する教養、機材の知識や、電子回路の実験、音響工学の検証、もちろん楽器のリペアや改造も自分で行うことで親和性を深めていくのですが...何よりその間に感性が少しも衰えてはなりませんから、ここが重要なところです。
 また、オリジナリティを堅持し続けることは多くの人にとっては困難です。(あまりにもコモディティ化された情報社会から逃れることはできないから)
 多くのパターンは"夢の完成"までに一般の人々に商業的価値を見出され、芸術としての指向性を諦めざるを得なかったアーティストのようにどうしても社会や俗を抜きにして存在することが難しいのです。
 続いて音楽性について簡単に触れておきたいのですが、私は結論の末、器楽を選択したことには意味があります。唄を入れると、どうしても叙情的になり、Timelessではなくなります。それは良くも悪くもあるのですが、それよりもフラットな状態で聞き流すことができ、僅かに主張的な器楽を求めていました。BGMのように心地よいものではなく、かつ既存の音楽性でもなく、新しいジャンルを作りたいと模索し続けました。"フック"には様々な要素がありますが、あまり気づかれないように仕掛けを作ることに意味があります(私の場合)。さらには一人で作成するDTM環境で、スピーカーを鳴らさずにいかにバンドのような滑らかで豊かな空間(あるいはサウンド)を創出できるか、という点にも相当の熱を注いでいます。
 なぜそれらを性質に求めるかというと、説明にはあまりにも紙面が足りないわけですが、端的にいうと私が後50年経ってその時にこれらを聴いても「素晴らしい音楽である」と感動したいからです。時代に流されず、周りに流されず、自分にしか作れない音楽をもった時、それは値段のつけられない永遠の価値となるでしょう。どんな模倣品よりも、一点物にはそれほどの価値があります(あるいはダイヤモンドよりも)。よそができる音楽はよそが作ればいいのです。
 私はブラックミュージックが大好きで心から尊敬しています。面白いことに、それ自体になれるとは思いません。生まれ持った素質の違いというのはあると思いますし、日本で生まれたからこそ感じる感性もあるのです。私は私の音楽を作りたい。これまでも、これからも。

2023.05.24 Golem Milk