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FEATURED2026-06-2304 minFEATURED2026-06-2104 minFEATURED2026-06-1804 minFEATURED2026-06-1804 minFEATURED2026-06-1604 minThe Senior Scoop2026-05-0557 min岡大徳のポッドキャスト
岡大徳のポッドキャスト令和8年度診療報酬改定|改定率+3.09%の全貌と医療機関への影響を徹底解説令和8年1月14日、厚生労働大臣は中央社会保険医療協議会に対し、令和8年度診療報酬改定について諮問しました。物価高騰と賃金上昇が続く中、医療機関の経営安定と医療従事者の処遇改善が喫緊の課題となっています。本稿では、この諮問の内容を解説し、医療機関経営への影響を分析します。今回の改定率は2年度平均で+3.09%となり、賃上げ対応と物価対応を重視した内容です。診療報酬本体は令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%と段階的に引き上げられます。薬価等は-0.87%の引下げとなり、効率化と適正化の両面から医療保険制度の持続可能性確保を図ります。施行は令和8年6月を予定しています。改定率の全体像:2年度平均+3.09%の内訳今回の診療報酬改定は、令和8年度と令和9年度の2年度にわたる段階的な引上げを特徴とします。診療報酬本体は2年度平均で+3.09%、薬価等は-0.87%となりました。この改定率は「経済財政運営と改革の基本方針2025」および「強い経済を実現する総合経済対策」に基づいています。診療報酬本体の内訳は5つの要素で構成されています。賃上げ分が+1.70%で最大の配分となり、物価対応分が+0.76%、食費・光熱水費分が+0.09%、経営環境悪化への緊急対応分が+0.44%です。一方、後発医薬品への置換え進展などによる効率化で-0.15%の適正化を図ります。これらを除く改定分は+0.25%です。各科改定率は医科+0.28%、歯科+0.31%、調剤+0.08%となっています。薬価は-0.86%、材料価格は-0.01%で、合計-0.87%の引下げです。薬価改定は令和8年4月施行、材料価格改定は令和8年6月施行となります。賃上げ対応:3.2%ベースアップ実現への支援賃上げ分+1.70%は、医療従事者の処遇改善を目的としています。この財源により、令和8年度・令和9年度それぞれで3.2%のベースアップ実現を支援します。看護補助者と事務職員については、他産業との人材獲得競争を踏まえ、5.7%のベースアップを目指す上乗せ措置を講じます。賃上げ分のうち+0.28%は、賃上げ対応拡充時の特例的措置として位置づけられています。この措置は、令和6年度改定でベースアップ評価料の対象とされた職種に加え、入院基本料等で措置された職種の賃上げにも対応します。今後の関係調査で実績を検証し、所要の対応を図ることとされています。賃上げの実効性確保のため、新たな仕組みが構築されます。令和6年度改定で入院基本料や初・再診料により賃上げ原資が配分された職種についても、実際の賃上げ実績を把握する体制が整備されます。対象職種は40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等従事者です。物価対応:施設類型別の配分と特例措置物価対応分+0.76%は、2つの要素で構成されています。第1の要素は、令和8年度以降の物価上昇への対応として+0.62%を診療報酬の特別な項目として設定し、施設類型ごとの費用関係データに基づき配分するものです。配分は病院+0.49%、医科診療所+0.10%、歯科診療所+0.02%、保険薬局+0.01%です。第2の要素は、高度機能医療を担う病院への特例的対応として+0.14%を措置するものです。大学病院を含むこれらの病院は、医療技術の高度化の影響を先行的に受けやすい特性があります。また、汎用性が低く価格競争原理の働きにくい医療機器等の調達が必要なため、物価高の影響を受けやすいとされています。食費・光熱水費分+0.09%は、入院患者の療養環境改善に充当されます。入院時の食費基準額は1食あたり40円引上げとなり、光熱水費基準額は1日あたり60円引上げとなります。患者負担については、低所得者や指定難病患者等に配慮した軽減措置が講じられます。経営環境悪化への緊急対応経営環境悪化への緊急対応分+0.44%は、令和6年度診療報酬改定以降の経営状況を踏まえた措置です。配分は令和7年度補正予算の効果を減じないよう、施設類型ごとにメリハリを維持します。病院+0.40%、医科診療所+0.02%、歯科診療所+0.01%、保険薬局+0.01%です。この緊急対応は、医療機関等の賃上げ余力が乏しくなっている現状を反映しています。令和7年度補正予算の「医療・介護等支援パッケージ」による措置に引き続き、当初予算段階から必要な財源を織り込む運営への質的転換を図ります。今後の経済・物価動向によっては、令和9年度予算編成で加減算を含む調整が行われます。基本方針:4つの視点と具体的方向性令和8年度診療報酬改定の基本方針は、社会保障審議会医療保険部会・医療部会で令和7年12月9日に策定されました。改定の基本認識として、日本経済が新たなステージに移行しつつある状況、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築、医療DX・イノベーションの推進、社会保障制度の持続可能性確保の4点が示されています。改定の基本的視点は4つの柱で構成されています。第1の柱は「物価や賃金、人手不足等への対応」で、今回の重点課題に位置づけられています。第2の柱は「2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域包括ケアシステムの推進」です。第3の柱は「安心・安全で質の高い医療の推進」で、医療DXやアウトカム評価を重視します。第4の柱は「効率化・適正化を通じた医療保険制度の持続可能性向上」です。重点課題である第1の柱では、医療従事者の処遇改善、ICT・AI・IoT等の利活用推進、タスク・シェアリング/タスク・シフティングの推進、医師の働き方改革、診療報酬上の基準柔軟化が具体的方向性として示されています。診療報酬制度関連事項:今後の検討課題診療報酬制度関連では4つの重要事項が示されています。第1は令和9年度の調整と令和10年度以降の対応です。経済・物価動向が見通しから大きく変動した場合、令和9年度予算編成で加減算を含む調整が行われます。そのため、令和8年度の医療機関経営状況について調査が実施されます。第2は賃上げの実効性確保です。幅広い医療関係職種で物価上昇を超える賃上げを実現するため、賃上げ実績の迅速かつ詳細な把握体制が構築されます。入院基本料等で措置される職種についても、ベースアップ評価料対象職種と同様の実効性確保の仕組みが適用されます。第3は医師偏在対策です。改正医療法に基づき、外来医師過多区域で都道府県知事の要請に従わない無床診療所新規開業者には、診療報酬上の減算措置が講じられます。令和10年度改定では、医師多数区域での更なるディスインセンティブ措置や、重点医師偏在対策支援区域における医師手当事業の財源確保について結論を得ることとされています。第4は経営情報の見える化です。医療法人の経営情報データベース(MCDB)等の活用により、エビデンスに基づく改定を推進します。診療所の「その他の医業費用」の内容把握や、職種別給与・人数の報告義務化について、令和8年中に必要な見直しの結論を得る予定です。薬価制度関連事項:イノベーション推進と安定供給薬価制度関連では、令和8年度薬価制度改革と令和9年度薬価改定の実施が示されています。イノベーション推進の観点から、市場拡大再算定における類似品の薬価引下げ(いわゆる共連れ)が廃止されます。この措置により、製薬企業の予見可能性が高まることが期待されています。医薬品の安定供給確保のため、最低薬価について物価動向を踏まえた対応が行われます。令和9年度薬価改定の対象品目範囲や各種ルールは、創薬イノベーション推進、安定供給確保、国民負担軽減のバランスを踏まえて検討されます。費用対効果評価制度の更なる活用も進められます。令和8年中に、追加的有用性がなく費用増加となる医薬品の価格調整範囲拡大が図られます。対象品目や価格調整範囲の拡大、診療ガイドラインへの反映について、令和9年度薬価改定で一定の結論が出される予定です。まとめ:医療機関経営への影響と対応令和8年度診療報酬改定は、物価高騰・賃金上昇への対応を重点課題として、2年度平均+3.09%の改定率が設定されました。賃上げ分+1.70%により3.2%のベースアップ実現が支援され、物価対応分+0.76%により施設類型別の経営支援が図られます。医療機関は、賃上げ実績の報告体制整備、経営情報の見える化への対応、医師偏在対策への準備が求められます。令和8年6月の施行に向けて、今後の中央社会保険医療協議会での審議を注視し、具体的な点数設定や算定要件を把握することが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.new
2026-01-2505 min岡大徳のポッドキャスト
岡大徳のポッドキャスト令和8年度診療報酬改定|改定率+3.09%の内訳と5つの重要ポイント令和7年12月24日の予算大臣折衝を経て、令和8年度診療報酬改定の改定率が決定しました。令和6年度改定以降の経営環境悪化を踏まえた緊急対応と、物価上昇への本格的な対応が盛り込まれています。本稿では、中央社会保険医療協議会総会(第639回)で示された改定率の内訳と制度変更のポイントを解説します。今回の改定の要点は5つです。診療報酬本体は2年度平均で+3.09%の引き上げとなり、賃上げ分+1.70%と物価対応分+0.76%が主な内訳です。施設類型ごとにメリハリをつけた配分が行われ、特に病院への重点配分が図られました。薬価等は▲0.87%の引き下げとなります。制度面では、医師偏在対策や経営情報の見える化に向けた対応が盛り込まれました。診療報酬本体の改定率診療報酬本体の改定率は、2年度平均で+3.09%です。令和8年度は+2.41%(国費2,348億円程度)、令和9年度は+3.77%となります。施行日は令和8年6月です。この改定率は、当初予算段階から所要の歳出歳入を織り込む運営への質的転換を図る観点で設計されました。「経済財政運営と改革の基本方針2025」および「強い経済を実現する総合経済対策」に基づき、施設類型ごとの費用構造や経営実態を踏まえた対応が行われています。各科改定率は、医科+0.28%、歯科+0.31%、調剤+0.08%です。改定率の内訳改定率+3.09%は、6つの要素で構成されています。賃上げ分が+1.70%、物価対応分が+0.76%、食費・光熱水費分が+0.09%、緊急対応分が+0.44%です。効率化による▲0.15%を差し引き、その他改定分+0.25%が加わります。賃上げ分+1.70%は、医療関係職種の処遇改善を目的としています。令和8年度・令和9年度それぞれで+3.2%のベースアップ実現を支援し、看護補助者と事務職員については5.7%のベースアップを目指します。賃上げ分のうち+0.28%は、医療機関の賃上げ余力回復のための特例的な対応として措置されました。物価対応分+0.76%は、施設類型ごとに配分されます。病院は+0.49%、医科診療所は+0.10%、歯科診療所は+0.02%、保険薬局は+0.01%です。高度機能医療を担う病院(大学病院を含む)については、物価高の影響を受けやすいことを踏まえ、+0.14%の特例的な対応が追加されました。食費・光熱水費分+0.09%では、入院時の食費基準額を1食あたり40円引き上げます。光熱水費基準額は1日あたり60円の引き上げです。患者負担については、低所得者や指定難病患者等への配慮措置が設けられています。緊急対応分+0.44%は、令和6年度改定以降の経営環境悪化に対応するものです。病院に+0.40%、医科診療所に+0.02%、歯科診療所に+0.01%、保険薬局に+0.01%が配分されます。効率化▲0.15%は、後発医薬品への置換え進展を踏まえた処方・調剤評価の適正化によるものです。在宅医療・訪問看護関係の評価適正化や、長期処方・リフィル処方の取組強化も含まれています。薬価等の改定薬価等は合計で▲0.87%の引き下げです。内訳は、薬価が▲0.86%(国費▲1,052億円程度)、材料価格が▲0.01%(国費▲11億円程度)です。薬価は令和8年4月施行、材料価格は令和8年6月施行となります。薬価制度改革では、市場拡大再算定の類似品の薬価引下げ(いわゆる共連れ)が廃止されます。この変更は、製薬企業の予見可能性を高める観点から行われました。診療報酬制度の関連事項制度面では、4つの重要な対応が示されました。令和9年度の調整、賃上げの実効性確保、医師偏在対策、経営情報の見える化です。令和9年度の調整については、経済・物価動向が見通しから大きく変動した場合に対応します。令和9年度予算編成において加減算を含む調整を行うため、令和8年度の医療機関の経営状況調査を実施します。賃上げの実効性確保では、より多くの職種を対象とした仕組みを構築します。令和6年度改定で入院基本料や初・再診料により賃上げ原資が配分された職種(40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者)についても、ベースアップ評価料の対象職種と同様の実効性確保の仕組みが適用されます。医師偏在対策では、診療報酬上の減算措置が導入されます。外来医師過多区域において無床診療所の新規開業者が都道府県知事からの要請に従わない場合が対象です。医師多数区域での更なるディスインセンティブ措置の在り方や、重点医師偏在対策支援区域における医師手当事業に関する診療報酬での財源確保の在り方については、令和10年度改定で結論を得ることとされました。経営情報の見える化では、MCDB(医療法人の経営情報のデータベース)の活用が進みます。職種別の給与・人数の報告義務化を含め、令和8年中に必要な見直しについて結論を得る予定です。診療所の「その他の医業費用」の内容把握など、報告様式の精緻化も検討されます。まとめ令和8年度診療報酬改定は、2年度平均で+3.09%のプラス改定となりました。賃上げ分+1.70%と物価対応分+0.76%を中心に、施設類型ごとにメリハリをつけた配分が行われます。特に病院への重点配分と、看護補助者・事務職員への手厚い賃上げ支援が特徴です。制度面では、賃上げ実効性確保の仕組み構築、医師偏在対策の強化、経営情報の見える化が進められます。令和9年度には経済・物価動向を踏まえた調整が予定されており、継続的な対応が図られる見込みです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
2026-01-0305 minViking Academy2025-12-181h 29岡大徳のポッドキャスト
岡大徳のポッドキャスト医療法人の経営状況が深刻化:令和6年度は病院の6割が医業赤字に令和7年10月27日に開催された第120回社会保障審議会医療部会で、医療法人経営情報データベースシステム(MCDB)に基づく最新の経営状況が報告されました(資料2-1:令和7年7月末時点、資料2-2:令和7年8月末時点速報版)。医療法人の経営悪化は医療提供体制の持続可能性に直結する重要課題です。本報告では、最新データから明らかになった医療法人の深刻な経営実態を分析します。令和6年度決算では、医療法人の経営状況が全施設種別で悪化しました。病院の医業赤字割合は59.7%に達し、約6割の病院が本業で赤字を計上しています。無床診療所の医業赤字割合は40.8%に上昇し、令和5年度の32.1%から8.7ポイント悪化しました。有床診療所も医業赤字割合が50.6%となり、半数以上が赤字です。経常収支でも病院の赤字割合が49.4%に達し、経常利益率は病院の中央値が0.0%まで低下しました。病院類型別では精神科病院の医業赤字割合が65.9%と最も深刻です。医業収支の悪化が顕著:病院・診療所の赤字割合が軒並み上昇令和6年度決算における医業収支は、全施設種別で赤字割合が上昇しました。医業収支は医療機関の本業である診療活動から得られる収益と費用の差を示す指標です。病院の医業赤字割合は令和5年度の55.4%から令和6年度には59.7%へと4.3ポイント悪化しました。この数値は、医療法人立病院の約6割が診療活動だけでは収支を維持できない状況を示しています。病院の医業利益額は中央値で▲13,724千円となり、赤字幅が拡大しました。無床診療所の経営悪化はさらに深刻です。無床診療所の医業赤字割合は令和5年度の32.1%から令和6年度には40.8%へと8.7ポイント上昇しました。令和5年度時点では約3分の2の無床診療所が医業黒字を維持していましたが、令和6年度には黒字施設が6割を下回る事態となりました。無床診療所の医業利益額は中央値で2,713千円に減少し、令和5年度の5,249千円から半減しています。有床診療所も経営環境が厳しくなっています。有床診療所の医業赤字割合は令和5年度の49.9%から令和6年度には50.6%へと0.7ポイント上昇し、半数を超えました。有床診療所は入院機能と外来機能を併せ持つため、両方の収支悪化の影響を受けやすい構造にあります。病院類型別分析:精神科病院の経営が最も厳しい状況に病院を一般病院、療養型病院、精神科病院の3類型に分けて分析すると、経営状況に差異が見られます。病院類型の定義は、療養病床比率60%未満を一般病院、60%以上を療養型病院、精神病床比率100%を精神科病院としています。精神科病院の経営悪化が最も顕著です。精神科病院の医業赤字割合は令和5年度の55.8%から令和6年度には65.9%へと10.1ポイント悪化しました。精神科病院の約3分の2が医業赤字を計上している計算になります。精神科病院の医業利益額は中央値で▲28,375千円となり、3類型の中で最も大きな赤字幅です。一般病院も経営環境が厳しくなっています。一般病院の医業赤字割合は令和5年度の58.2%から令和6年度には60.6%へと2.4ポイント悪化しました。一般病院は急性期医療を中心に担っており、診療報酬の影響を受けやすい特性があります。一般病院の医業赤字割合は3類型の中で2番目に高い水準です。療養型病院の医業赤字割合は令和5年度の49.6%から令和6年度には53.7%へと4.1ポイント上昇しました。療養型病院は3類型の中では相対的に赤字割合が低いものの、それでも半数以上が医業赤字を計上しています。療養型病院は長期入院患者を中心に診療しており、診療報酬の安定性が比較的高い特性がありますが、人件費や物価上昇の影響は避けられません。経常収支も全面的に悪化:経常利益率の大幅低下が示す経営圧迫経常収支は医業収支に医業外収益と医業外費用を加えた総合的な経営指標です。経常収支の悪化は、医療機関が補助金などの医業外収益でも赤字をカバーできない状況を示します。病院の経常赤字割合は令和5年度の41.5%から令和6年度には49.4%へと7.9ポイント悪化しました。病院の約半数が経常ベースでも赤字を計上しています。病院の経常赤字割合が5割に迫る水準は、医療提供体制の持続可能性への警鐘です。無床診療所の経常赤字割合は令和5年度の25.4%から令和6年度には34.4%へと9.0ポイント上昇しました。無床診療所は医業外収益が相対的に少ないため、医業収支の悪化が経常収支に直結しやすい構造です。無床診療所の約3分の1が経常赤字を計上する事態は、地域医療の最前線を担う診療所の経営基盤の脆弱化を示しています。有床診療所の経常赤字割合は令和5年度の38.9%から令和6年度には40.8%へと1.9ポイント上昇しました。有床診療所は無床診療所より経常赤字割合が高く、入院機能を維持するコストの重さが経営を圧迫しています。経常利益率の推移は経営悪化の深刻さを端的に示します。令和5年度から令和6年度にかけて二期連続で決算を提出した医療法人のデータ(資料2-1、令和7年7月末時点)によると、病院の経常利益率は平均値が2.0%から0.3%へ、中央値が1.7%から0.0%へと大幅に低下しました。病院の経常利益率の中央値が0.0%という数値は、半数の病院が経常収支でも利益を出せていないことを意味します。無床診療所の経常利益率も平均値が9.6%から5.7%へ、中央値が6.8%から2.9%へと大幅に低下しました。有床診療所の経常利益率は平均値が5.6%から4.2%へ、中央値が2.8%から1.3%へと低下しました。医療法人経営悪化の要因と今後の課題医療法人の経営悪化には複合的な要因が作用しています。人件費の上昇、物価高騰、光熱費の増加などのコスト増が医療機関を直撃しています。人件費の上昇圧力が継続しています。医療・介護分野では人材確保が喫緊の課題となっており、賃上げは避けられない状況です。令和7年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2025では、医療・介護等の現場で働く幅広い職種の賃上げに確実につながる対応が明記されました。人件費は医業費用の大部分を占めるため、賃上げは医療機関の経営に直接影響します。物価上昇の影響も深刻です。医療材料費、医薬品費、光熱費などが上昇しており、医療機関の費用構造を圧迫しています。診療報酬は公定価格であるため、市場価格の上昇を即座に転嫁できない構造的な問題があります。控除対象外消費税等負担額比率のデータからも、税負担が医療機関の経営を圧迫していることが読み取れます。診療報酬改定の影響を検証する必要があります。令和6年度診療報酬改定では、医療従事者の賃上げや物価上昇への対応が図られましたが、今回のデータは改定の効果が十分でなかった可能性を示唆しています。経済財政運営と改革の基本方針2025では、令和6年度診療報酬改定による処遇改善・経営状況等の実態を把握・検証し、令和7年末までに結論を得るよう検討することが明記されました。医療機関の機能分化と連携の推進が求められます。病床機能の適正化、地域医療構想の推進、医師の適正配置などを通じて、効率的で質の高い医療提供体制を構築する必要があります。個々の医療機関の経営改善努力だけでなく、医療制度全体の最適化が不可欠です。まとめ:医療提供体制の持続可能性確保に向けた政策対応が急務医療法人の経営状況は令和6年度決算で全面的に悪化しました。病院の医業赤字割合は59.7%、経常赤字割合は49.4%に達し、約6割の病院が本業で赤字を計上する深刻な事態です。無床診療所の医業赤字割合は40.8%に上昇し、有床診療所も医業赤字割合が50.6%と半数を超えました。病院類型別では精神科病院の医業赤字割合が65.9%と最も厳しい状況です。経常利益率も病院の中央値が0.0%まで低下し、経営環境の厳しさを浮き彫りにしています。医療提供体制の持続可能性を確保するため、診療報酬の適切な設定、医療機関の経営効率化支援、地域医療構想の着実な推進が求められます。政府は令和6年度診療報酬改定の効果検証を進め、令和7年末までに結論を得る方針です。医療経済学の視点からは、医療の質を維持しながら効率性を高める制度設計が重要であり、エビデンスに基づいた政策立案が期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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